2020年10月16日 スパイの妻☆☆☆☆☆
戦争反対のプロパガンダ映画か,日本軍の悪行を暴く反日映画かと思ったら,思い切り「愛の映画」じゃありませんか.
貿易商,福原優作に嫁いだ聡子,神戸の六甲で裕福な生活をしている.
夫の優作と甥の文雄は満州に出張後様子が?
どうやら満州で関東軍の不味い情報を手に入れてしまったらしい.そしてその情報を「博愛の精神」から連合国に持ち出そうと試みる.聡子は夫を「売国奴」と罵り,特高にチクる.と言っても愛国心でも,イデオロギーでもなく,「ただ夫と一緒にいたいだけ」
最終的に,証拠の文書とフィルムを持って,優作と聡子は二手に分かれて米国に亡命を試みるも,「匿名の通報により」聡子は逮捕.聡子が持った貴重な証拠書類はおふざけ書類に変えられていた.
そうです.「偽物の書類を持たせ一人で米国に亡命を試みた聡子をチクった」のは優作だったのです.それが解った聡子は「お見事!!!!」と狂乱し癲狂院へ.
戦後優作の死亡証明が出たが,「偽装臭い」.数年後聡子は米国に移住.
わからないけど「関東軍の悪行」は米国に売り渡すことにより,関係者は無罪をゲット.一部はその後「薬害AIDS」で有名な「ミドリ十字」の設立に関わった.
多分聡子は優作と米国で一緒に生涯暮らしたんだろうな?な終わりかた.
とにかく,徹頭徹尾,聡子は「夫と一緒にいたい」だけの可愛い女性なの.
時代考証に少々難有り(当時のサラリーマンは通勤や営業周りにはほとんど帽子を被っていた,とか当時の男ヘアは刈り上げが基本,とか職業婦人は夏場でも手袋着用とか)当時の日本語の考証が駄目とか(「戦後の没落貴族」を描いた「安城家の舞踏会」ではいい年したババア連中がお互いを「あっちゃま」とか「おばさま」とか呼んでた)あるけど.
同じ時代の映画「地獄に堕ちた勇者ども」で見事にこの付近の考証をしていたヴィスコンティとは「やっぱり才能が違う」のよね.
英題名が「Wife of a spy」なんだけど,とっても日本人の発想で良いわ.「The interview with the Vampire」があまりにも直接過ぎて,個人的には「an Interview with a Vampire」のほうが日本的と思ってたから.
とにかく蒼井優
お見事
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