2017年8月26日土曜日

コミックオペラ ミカド☆☆☆☆☆

2017年8月26日びわ湖ホール制作コミックオペラ ミカド ☆☆☆☆☆ 於 新国立劇場中劇場

ミカド・・・・・・・・・・・・松浦 治
ナンキプー・・・・・・・・・・二塚直紀
ココ・・・・・・・・・・・・・迎 肇聡
ヤムヤム・・・・・・・・・・・飯島幸子
カティシャ・・・・・・・・・・吉川秋穂
指揮・・・・・・・・・・・・・園田隆一郎
演奏・・・・・・・・・・・・・日本センチュリー交響楽団

面白かった,楽しかった.前回見た秩父オペラのミカドが中途半端だったのに,このプロダクションは良かった.
新国の「地域招聘オペラ公演」,玉石混淆ではあるけど,今日は玉.
あのギルバートのややこしい台本を無理なく翻訳して,英語字幕も漬けて.
この手の翻訳では,なかにし礼が翻訳したスーパーオペレッタ「天国と地獄」が最高峰だと思った.例えば例の有名なカンカンは「Ce bal est original d'un galop infernal donnons tous le signal! Vive le galop infernal! donnons le signal d'un galop infernal!
Amis, vive le bal!」と,語尾がalで脚韻してるのだけれど,なかにし礼は「馬鹿騒ぎとどんちゃん騒ぎとカンカン踊りで宴は終わる」というようにあまり押韻しない日本語をうまくまとめてた.
今回のミカドも無理なく,しかし内容はうまく伝えて,くどいほどの繰り返しも繰り返して,今の時代に合わせるべきところは合わせて.
そして歌手も良かった,G&Sって結構難しいのよ.男声も女声も転がすところや張り上げるところがたくさんあるし,ペンザンスの海賊のメイベルのように延々とスタッカート(ブレスはどこで?)な歌もあるし.皆声が伸びてたしアンサンブルも揃ってた.
カティシャの場面なんか,涙をさそうのよ.
ただし,原文ではカティシャは罵詈雑言の限りを尽くしてます「バカ,盲,軽薄,下劣 木を見て森を見ず,お前の葬列の鐘は鳴らされた最後の審判は近い」この歌のカティシャは本当に哀れでした.
演出は,ポータル内に2つのポータルが袖幕風に.そこには浮世絵風の絵が,奥にはスクリーンがありコンピュータ画面のようなものが映っていて,その画面が動くことに寄って場面が転換するという今風な演出ですが,全く違和感がありません.
オケもしっかり鳴ってました.
多分このプロダクションは今後もびわ湖ホールで上演されると思いますが,必見です.
びわ湖ホール,とてもきれいなホールで,ロケーションも最高です.京都からも数分で着きます.ぜひ.

ミカドの肖像

今日,新国中劇場で「びわ湖ホール」制作のコミックオペラ「ミカド」を見てきたのだけれど,とても面白い演奏だったの,で,あたくしとGilbert &Sullivanの付き合いは結構長いの.
クラシック好きならG&Sのオペラのことは「話としては知っている」けど「見たことも聴いたこともない」音楽だらけだったの,当時は(昭和).
初めて映像を見たのは1978年制作のアメリカのコメディ映画「ファール・プレイ」の中だった.
サンフランシスコを訪問するローマ法王ピオ13世,実は暗殺計画があり,その場所が「ミカド上演中のサンフランシスコ・オペラ」・・・・なわけ無いじゃない.プロトコールでは天皇陛下と同列,諸王より格上のローマ法王を「ミカド」なんていうアチャラカオペラでもてなすなんて.
その頃はもう,ドイリー・カート・オペラカンパニーが虫の息で,嘗ての同オペラスター歌手ヴァレリー・マスターソンがゲスト出演してなんとか延命していた時.
あたくしもそのぐらいの頃から秋葉原の輸入盤を漁るようになり,幸いサー・マルコム・サージャントが当時の英国のスター歌手を集めて(ロイヤル・オペラの華,ラファエル・クーベリック夫人エルジー・モリソンやマージョリー・トーマス)ステレオ録音があり,よく聴きました.
当時の日本のオペラ界は,ヨーロッパに追いつけ追い越せで,やっと原語上演が始まったころ.「ミカド」だの「HMSピナフォー」なんか上演している場合じゃなかった.
G&Sをレパートリーに持つ劇団は,なんと名古屋の「スーパー一座」という劇団だった.名古屋の大須演芸場で八月と十二月,一ヶ月間演芸場を貸し切り,夏はオペラ,冬は歌舞伎を上演していた.その劇団の横浜公演がにぎわい座であったので見に行ったのが初めてのG&S体験.演目は「ユートピア国株式会社」G&Sの中ではヒットした作品ではないようだが,面白かった.
ここの劇団も東京オペラプロデュースのように「欧米では上演されるのに日本では上演られない曲」(東京オペラプロデュースの場合「だから上演されないんだよ」な作品もあるけど.)
その後名古屋詣では続き「山賊」「サルタンバンク」「青ひげ」「カルメン」「パロマの前夜祭」とスーパー一座が解散するまで通いました.口コミで東京のオペラファンが大挙して通うようになりました.
ミカドは秩父オペラ(ミカドの都がthe town of Titipu」なので「秩父説」があるからで,2006年には英国で上演し,その凱旋公演を芸劇で見ましたが,中途半端に英語と日本語がちゃんぽんで,それほど楽しくはなかった記憶が.今回は違いました,徹頭徹尾楽しめました.では.

2017年8月22日火曜日

URUSHIふしぎ物語ー人と漆の12000年史ー

2017年8月22日 URUSHIふしぎ物語ー人と漆の12000年史ー☆☆☆☆☆ 於 国立歴史民俗博物館


最新の研究では,最古の発掘物は12000年前のものと思われるウルシ,外来種と言われているのに,塗料として使われるようになったのは中国よりずっと早かったとか.
そのウルシの年代史です.
漆器から,蒔絵,螺鈿とどんどん装飾性が高くなり,日本人お得意の「職人技」になっていきます.
開国後は,諸外国の王室などにも納められました.
ここの博物館は,常設展示も素晴らしい内容です.現在は改装中で入れない第一展示室には宗像大社沖ノ島のレプリカがありました.それがとても興味深かったので九州国立博物館にも行くことになったのですが.
坂道がきついけど,佐倉の駅から歩いても15分ほどです.お勧めです!

2017年8月13日日曜日

ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣

2017年8月13日 ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣☆☆☆

ここの所バレエ関係のドキュメンタリーが数多く上映されているけど,面白かったのは全くありません.オペラ関係だと,往年の名作「トスカの接吻」始め結構あるのに.
で,ウクライナ生まれのセルヒィ(ウクライナ語だとこの発音になる),ウクライナの田舎のダンス教室からキエフのバレエ学校,ロイヤル・バレエ学校を出てロイヤルバレエ団に入る.そのための費用を稼ぐため父親はポルトガルに,祖母はギリシャに出稼ぎに行く.気がつけば両親は離婚.家族をひとつに纏めるために続けていたバレエのために家族はバラバラに.
バレエ学校を出てロイヤルバレエ団に入り,あっという間にプリンシパルに.ところが突然やめてしまう.アメリカのバレエ団を目指すも,その奇行から声はかからず,ゼレンスキーのいるダンチェンコ劇場にゲストとして参加するもまたゴネ始め,引退を考え,例の2000万回再生されたという「引退記念のビデオ」を撮影するが,あまりの評判に「もう一度踊ろうか」と考える,と言う内容.
映画の中でもあったけど「バレエダンサーには少年時代がない」怪我を恐れるあまり山や川で飛び跳ねて遊んだ経験がない.バレエ学校を出て20才になるかならないかで自分の人生を決めなければならない.
だから,「遅れてきた反抗期」なのよ.いい年ぶっこいて.ゼレンスキーのもとで落ち着いたのだってゼレンスキーがお父さんやってくれたからで,「苦悩」とか表現している人もいるけど,要は反抗期なのよ.中二病
それだけの話.
ロシアのバレ関係のオーディション番組に出るけど,審査員にマラーホフがいたり,ザハロワとのシーンがあったり,賞の縦を渡すのがヴィシニョーワだったりバレエファンにはそこそこありがたいけど.

2017年8月11日金曜日

夏のデナー

デモドリーヌから「暑気払いしない?」のお誘いで,銀座Le Nougatでデナー.
小さいお店ながら非常に繁盛しているお店でした.
アペリティフにシェリーをいただき,デモドリーヌを待つ.

前菜,メインと頼んで「少しお時間かかります」ということなので砂肝のコンフィ(絶品)つまみながらワインを嗜む.
前菜はタコのクスクス・これって,クロアチアのタコサラダにスムール足したようなもんじゃない.美味しい美味しい.
続いて馬のタルタル.おフランスも北の方へ行くと「馬のステーキあります」なんて見ますから.
ケイパーにマヨネーズにムスタール,とても美味しゅうございました.
メインのアニョー.「焼き上がりに1時間かかります」ということで最初に注文しました.でかい.
 でもとても美味しいアニョーなので
ぺろり.
 お腹いっぱいなのでデセールは「ライムのソルベウォッカ添」を頼みました.
ウォッカは「ストップかけてください」まで注いでくださいます.
殆んどカクテル「ウォッカライム」ですね.
でもさらに頼むディジェスティフ.冷凍庫保存の「自家製リモンチェッロ」とても美味しゅうございました.
時間が早かったのでオーバカナル銀座店で
 あたくしはアブサン
デモドリーヌはディアボロマンテ.
で,このリモナーデ,PBじゃね?

フエルサブルータ WA

2017年8月10日 フエルサブルータWA☆☆☆ 於 品川プリンスホテルステラボール

上演前に,オーバカナル高輪店で腹ごしらえ.
ついでに食後酒としてアブサンを.
お店の人から「高輪店に移ってきて3年目ですが,アブサンお出ししたの二杯目です」ですって.
ワイン一杯で長時間呆けーっとするのが好きなんですって言ったら「そういう使い方をしていただくととても嬉しいです」と言っていただきました.
さて,品川プリンスではここの所隣のクラブeXで「ダークシルク」と言う名の「大人向けのサーカス」を上演してます.
その流れの「ライブハウス向けサーカス」かと思ったのに.
確かに装置や場面転換は素晴らしいものがあるけど,全くの素人芸なのよ.
例えばこの芸なんか,舞台の上に風洞を作っているようなもので,それはそれで素晴らしいけど,衣裳と踊りが「The芸者」なのよ.
この水を使った芸も(他にも本水多数),舞台上の奥から樹脂製プールが出てきて下からも見えるというコンセプトは面白いのだけど,水着のお姉ちゃんたちがのたうち回るだけで,美しさも感激もないの.
コンセプトはそのままにシルク・ド・ソレイユにやらせたら一流になるのでは?

2017年8月6日日曜日

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ

2017年8月6日 ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ☆☆☆☆

しがないミルクシェイクマシン売りのレイ,突然入った大量受注にその店を見に行くと,見事なまでにシステマティックな調理と販売をしている「McDonald's」と言う名のハンバーガー屋.メニューは「ハンバーガー,ポテト,ソフトドリンク」だけ.
で,「これ欲しい」と思ったレイはフランチャイズを買って出る.
地元の金持ち仲間にフランチャイズを持ちかけるが,好き放題にされて散々.
そこで,やる気のある人を集めてフランチャイズ開始,店舗はどんどん増えて,それなりに上手く行っているのに自転車操業.銀行からは矢の催促.
そんなときに救世主が,財務コンサルタントのソネンボーンが「君のやるべきことは飲食業じゃない,不動産業だ」ということで,フランチャイジーはマクドナルドからテンポの土地を購入しなければならないシステムにした.
しかし,マクドナルド兄弟は大反対.結局カネで横面を叩いて納めて,自らをファウンダーの名乗る.
ま,よくできた話です.おそらくマクドナルドの協力は無いと思います.最後に実際のレイのインタビューが出てきますが,実に嫌な人間です.

2017年8月3日木曜日

銀魂☆☆☆☆

2017年8月1日 銀魂☆☆☆☆

テレビ放映のアニメは結構見てた.実写版の話を聞いて,「イケメソ俳優ばかり揃えていてもな・・・・」と違和感を感じてましたが,なんのなんの,実にお馬鹿な作品に仕上がってました.でもね,最後のチャンバラがしつこすぎるのと,歌舞伎並みに引っ張るところがあるので減点.
あのね,天下の中村屋よ?その勘九郎さんを「全裸で素振り」させたり「全裸にハチミツ塗って森に立たせ」たり,松竹!もっと真面目にマネジメントしろ!
いやー脳みそ使わない映画って楽しいわ.