2010年9月7日 カラフル☆☆☆☆☆
どうもきれいな画面だと思ったら,「河童のクゥと夏休み」の監督さんなのね.実写をトレースしたのだと思うけど,とてもアニメとは思えないリアルな美しさ.特に水の流れがきれいでした.舞台は世田谷区等々力から二子玉川にかけて.
玉電の話題が出てくるけど,あたくしは恐らく玉電を知っている最後の世代かも.田舎が井の頭線沿いだったので,盆暮れに田舎に帰るときの渋谷の井の頭線ホーム,隣が玉電の発着場だった.
東京の私鉄は都心と神社仏閣を結ぶのがその起源であるのがほとんどだけど,玉電は玉川の砂利を都心に運ぶための路線でした.(西武新宿線は下肥を郊外に運ぶ為の路線)
当時は東京も車が増え始めた頃で,「ジャマ電」と言われて忌み嫌われていたのに.
さて,とある坊やが死んであの世へ行くことに,その時「おめでとうございます,あなたは抽選で選ばれました」と小僧が言いに来る.
どうやら,死んだ坊やは,前世で何か過ちを犯し,輪廻のサイクルから外される運命にあるけど,抽選で選ばれ,縁もゆかりもない死体に憑依して生き返り(ホームステイ),その結果如何では輪廻転生に戻れるということ.でもって,現れた小僧は「プラプラ」という変な奴.
で,死んだ坊やは「小林真」と言う,服毒自殺した中三の体に入る.ホームステイの期限は約半年.
真になった「ぼく」は見ず知らずの家族相手に投げやり.学校に行っても,どうも真という小僧がハブられていたらしいことが解り,学校生活も投げやり.
で,そのうち,友人が出来,自分がいかに家族に愛されていたのかが解ってくる.
そして,最後にプラプラに言う.「ぼくは罪を犯した,自分を殺した,そして自分こそが小林真である」と.
そして,プラプラの告白「おめでとう.ぼくはそれが解らなかったんです」ここ泣かせます.
マーラーの交響曲4番の終楽章,この曲はしばしば「大いなる喜びへの讃歌」と呼ばれます.終楽章はソプラノと児童合唱で歌われます.「天国は良いところ何だよ.たべるものは美味しいし,哀しみもないし」みたいな歌を歌います.ところが,この歌は「死んだ子供たちの歌」なんです.「お父さんお母さん,だから心配しないでね」
一番明るい,一番偉そうなプラプラが一番悲しい役なんです.
真と別れるときにプラプラは,真から自分との記憶を消します.「でも見ているからね」
そして,ある日真の携帯にPという名の送信元からメールが「生きてるか?」
思い出したら涙が出てきました.良い作品です.お勧めします.
あ,忘れてましたが,声優陣が凄いです.バカ女役の南明奈,はまり役です.真役の冨澤風斗くんの,変声期前の声はこれが最後でしょう.