2013年3月19日 横道世之介☆☆☆☆☆
吉田修一の作品は,ストーリーもだけど,むしろ文体で読ませる作品.だから映像化されると悲惨な例が多い.
この作品は,モロに吉田修一の文体を映像化している.
大学入学のために長崎から上京した横道世之介.ちょっと空気読めなくて,距離の取り方も微妙で,無駄にポジティブ.大学時代に世之介と交流のあった数人との大学生活,そして,なぜか皆,その後世之介とは疎遠になり,15年後,カメラマンになった世之介は,代々木駅でホームから墜ちた女性を救おうとして轢死する.
15年後の友人たちの姿をカットインしながら,脳天気な世之介の生活を淡々と描写する.全く力も入らず,無駄に泣かせることも無く,怒鳴ることも激高することも無い世之介の人生.
世之介の話をすると今でも笑ってしまう友人たち.そして,最後に読まれる世之介の母親の手紙.しんみりしますが,世之介のためにも泣いてはいけません.
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