2016年1月6日 ミハイロフスキー劇場バレエ ジゼル☆☆☆☆☆
於 東京文化会館大ホール
ジゼル・・・・・・・・・・・アンジェリーナ・ヴォロンツォーワ
アルベルト・・・・・・・・・レオニード・サラファーノフ
ハンス・・・・・・・・・・・ウラジーミル・ツァル
ミルタ・・・・・・・・・・・ワレーリア・ザパスニコワ
指揮・・・・・・・・・・・・ヴァレンティン・ボグダーノフ
演奏・・・・・・・・・・・・ミハイロフスキー劇場管弦楽団
ポピュラーな演目でコールドが綺麗な作品だけど,新国が滅多に上演してくれないので,ここのところご無沙汰でした.
フランスで初演され,翌年にはロシアに輸出された「ジゼル」も本国フランスではとっくの昔に忘れ去られ,生き残って上演されていたのはプティパによる改訂を受けたロシア版だけ(同じように「海賊」もロシア,「ラ・シルフィード」はデンマークでだけ生き残った)
ジゼルがフランスで復活したのは,20世紀前半の「バレエ・リュス」と「バレエは外貨を稼げる」と交渉のカードに使ったソ連のバレエ団のおかげ.
ポリーナが「体調不良でキャンセル(棒読み)」なのでヴォロンツォーワに変更.
ところが,初めて見るヴォロンツォーワ,ボリショイにいたけど,フィーリン事件の余波でマールイに移籍,あっという間にプリンシパルへ.
シェスタコワを髣髴とさせる容姿.さらにポアントノイズが全くしない綺麗な踊り.しかし,足はしっかり上がっている.
デコ(サラファーノフ)とのバランスも良い.片足ぴょんぴょんのヴァリアシオンもしっかり最後まで跳んでる.狂乱の場の演技も申し分ない.思わずウルウル来てしまいました,
それより,指揮者とオケすごくね?踊り手にぴったり合わせるのに,不自然さがなく,なおかつ歌うべきところはしっかり歌ってる.二幕のチェロのソロとかハープもしっかり歌ってる.
二幕になって,コールドがアラベスク,片足ぴょんぴょんで公差するとことは満場の喝采.
PDDもきれいに踊っていましたし,アラベスクで180度開脚した時は,後ろの席のオネイサン(多分バレエ経験者)ヒィって悲鳴あげてました.
デコはアントルシャ・シスを36回繰り返しただけではなく,きちんと「だんだん疲れ果てる」演技もしっかり.(本当に疲れていたとは思うけど)でも高さはキープ.
ボッレもやってたけど「余裕余裕,あと10回ぐらいできるよ」な表情でイマイチだった.ここは踊り狂って殺されそうになるシーンだから.
あたくしはこのバレエ団が好きなのですが,今一つ日本での評価が「マリインスキーの廉価版」的な扱いなのが気に入らない.
確かに嘗てはスターがいなかったから,ザハロワやらテリョーシキナやら,ルジのコネで「余所者スター」を連れてきたけど,シェスタコワは当時からスターだったし,「白痴美」と言われたペレンちゃんも,いつの間にか化けて大スターになったし,フィーリンに「鏡を見てご覧,君のどこが白鳥なんだ?」と言われたヴォロンツォーワもしっかりシェスタコワの代わりが勤まるみたいだし,優秀なバレエ団ではないか?と思います.
このバレエ団の「くるみ」も「眠り」もほとんどカットがないし,「バヤ」は神殿崩れるし,「ドン・キ」も素晴らしいし.
海賊に至っては,今上演されている世界中の海賊の基本はマールイ版だし.
それにしても,シヴァコフはどうしているのだろう?