2013年10月5日 アンリ・ルソーから始まる素朴派とアウトサイダーズの世界 於 世田谷美術館
アウトサイダーアートといえば,草間彌生,山下清やヘンリー・ダーガーみたいなオツムの残念な人か,おかしい人達の作品と思い込みがちだけど,「正規の教育を受けていないのに突然才能を見せる」と言う意味ではルソーやサー・ウィンストン・チャーチルも同じ事.で,世田谷美術館は,開館に向けて集めたコレクションが「ルソーと素朴派」だったらしい.今回は集大成か.点数も多かったし,実に興味深い作品ばかりでした.一つの美術館にこんな長い時間いたことは無いと言うぐらい味わい尽くしました.
中でも「旧ユーゴスラヴィアの画家」というコーナーの前では動けなくなるほどの衝撃を受けました.
もう一つ,熊本でカメラ店を経営していた久永強氏の一連の作品.シベリア抑留の経験があり,他の日本人作家のシベリア展を見て「俺の知っているシベリアはこんなんじゃない」と描いた一連の作品.涙無しには見られません.美術館の中で嗚咽を漏らすなんて初めての経験でした.「生産のノルマがある」のノルマや,収容所を意味する「ラーゲリ」なんかは抑留帰りの日本人が広めたロシア語です.
この連作の中で「ビストラ,ビストラ(速くしろ」と急かされた」という記述があったのですが(抑留された日本人が始めに覚えるのがビストラとダヴァイ(davai)だそうです),実は,おフランスの「ビストロ」の語源がこのビストラбыстроだと言われているんです.スラブ語はアクセントの無いoはaと発音されます.
ナポレオンが失脚した後,パリに侵攻したロシア兵相手に居酒屋の店主やギャルソン(今は死語)達が「うちは料理を出すのが速いよ」という意味で「Bistro,bistro」と客引きをしたからという説です.
世田谷美術館はロケーションが悪いです.自宅から渋谷へ出て,渋谷24系統「成城学園前駅」行きのバスで砧町まで,ここから歩いて10分ほど.
ただ,図録がたったの1200円というのは誉めてあげましょう.
後,2階のギャラリーでは「気になる,こんどの所蔵品」という最近所蔵された作品展をやっていました.ほとんどが「世田谷に所縁のある作家」の作品ですが,さすがは世田谷区,数多くの芸術家や有名人がいます.女優の佐藤オリエ氏の父君も彫刻家で,オリエ氏から寄贈された作品もありました.
11月10までやってます.是非ともお見逃し無く.
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