2011年6月13日月曜日

蝶々夫人

2011年6月12日 蝶々夫人☆☆☆☆☆ 於 新国立劇場オペラパレス

蝶々夫人・・・・・・・・・・オルガ・グリャコヴァ
ピンカートン・・・・・・・・ゾラン・トドロヴィッチ
シャープレス・・・・・・・・甲斐 栄次郎
スズキ・・・・・・・・・・・ 大林 智子
指揮・・・・・・・・・・・・イヴ・アベル
演奏・・・・・・・・・・・・東京フィルハーモニー交響楽団

このブログをご覧の方ならご存じでしょうけど,あたくしはこの演出が大嫌いです.
もしも,この演出が「イタリアかドイツの田舎の歌劇場で,日本人関係者が一人もいない条件」で作られたのなら解りますが,演出はなんと日本人,それも栗山民也です.
和洋折衷な奇妙なお辞儀,膝を折り,頭を下げる.日本式ならひざは折らない,西洋式ならお辞儀はしない.
なぜか,花嫁の蝶々さんではなく,近所のおばさんたちが角隠しをつけている.お引きずりのようでお引きずりではない芸者たちの奇妙な着物,土足で畳の上を歩く日本人たち,立ったまま障子を開けるスズキ.
突っ込みどころ満載なのに五つ星なのは,全て主演のグリャコヴァが素晴らしいから.
高音に難があって,愛の二重唱や,ある晴れた日にの最後の音が不十分でしたが,基本的に素晴らしい歌唱でした.それよりも何よりも,日本人としての所作が一番きれいでした.
座るときの膝下の押さえ方,内股で歩く歩き方,草履の脱ぎ方,履き方,どれをとっても一番きれいでした.どこで誰に習ったのでしょう?
そんなだから,思い切り蝶々さんに入れ込んでしまって,二重唱の「幸せにしてくださいますね」で涙がブワーーー,終幕で子供が出てきたらブワー,もう涙涙でした.
指揮は良くも悪くも教科書通りで,きれいな音を出していました.
あれだけ嫌いな演出なのに,歌手が変わるだけでこんなに楽しめるのですね.舞台は生ものなのだと言うことがよく分かりました.

追記
新国の「お客様の声」を見てもグリャコヴァの立ち居振る舞いが素晴らしかったという感想ばかりでした.彼女に日本の立ち居振る舞いを教えたのは,新国のスタッフであったという中の人の声を聞いた事があるのですが.彼女に再度拍手

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

お久しぶりです 谷中の者です
さて、私は15日のマチネで見ました。水曜日の午後2時にオペラに来る輩ってのは、高齢者中心なのですが、久しぶりに一階でみていると、隣は5000円で入った学生さん、そしてそれ以外は2万円で支払った高齢者たち・・・さて、私はといえば、ケイトの場面はいつも泣き所で、この世にこんなに悲しい音楽はないなんてセンチになっているのですが、今回は泣けなかった・・・周りをみても、高齢者たち泣いていないし、本当は泣いても良さそうな学生たちも泣いていない、そちらの観察で泣けなくなったわけではないのだけど、本当は泣いてもいいじゃんという気持ちが強かった。本当は周りがシクシクしていて、それにつられてもらい泣き的な感じになるのだけど、平日のマチネの観客はすれているというか、まだOLたちの方が泣くんだろうなあ・・・
さて、グリャコヴァ確かに素晴らしかったのだけど、そんなこともあり泣けずにちょっと損した気持ちになっています。