2021年10月30日 和田誠展 於東京オペラシティアートギャラリー
デザイン,ポスター,アニメ,本の装幀,レミさんの作品などなど.
2021年10月30日 白鳥の湖☆☆☆☆☆ 於 新国立劇場オペラパレス
オデット/ディール・・・・・・米沢 唯
ジークフリート王子・・・・・・福岡雄大
ベンノ・・・・・・・・・・・・木下嘉人
ロットバルト男爵・・・・・・・貝川鐵夫
指揮・・・・・・・・・・・・・ポール・マーフィー
演奏・・・・・・・・・・・・・東京フィルハーモニー交響楽団
あたくしにとって「白鳥湖」って好きな作品ではなかった.新国でマリインスキー版が上演されていたときにヴィシニョーワで見たとき以外感激もしなかった.
新芸術監督の都ちゃんが昨年のオープニングに準備していたのに,コロナで延期になった作品.バーミンガム・ロイヤル・バレエのサー・ピーター・ライト版.
いやー綺麗だった,面白かった.
序曲が始まると,紗幕越しに前王の葬儀がうつる.王子の友人役であるベンノがかなり重要な役で木下くん良い演技でした.
二幕は割と普通の二幕.コール・ド・バレエが美しい.
三幕嫁選びのシーン,突然割り込んできたオディールとロットバルト.小姓役の子供が可愛い.唯ちゃん,32回転はトリプルまで混ぜて圧倒的なテクニック.
4幕,幕が上がるとドライアイスの海,そこから突然コールドが現れる.そして語る語る.フォーメイションが綺麗オデットを必死で守るコール・ド・バレエ.絶望したオデットは湖に飛び込み後を追う王子.
ベンノが王子の遺体を抱えてくるも,紗幕の向こうには微笑む二人の姿が.
良かったよ.このプロダクションなら今後も見たい.
2021年10月29日 そして、バトンは渡された☆☆☆☆
お涙頂戴映画なんだけど,妙に明るいの.そしてとにかく泣けるの.
今までで一番泣いた映画は「異人たちとの夏」だったけど,それぐらい泣けるの.
で,二人の母親と,三人の父親に育てられた優子が結婚するまでの話.
本当の母親はすぐに亡くなり,再婚した父親の相手,梨花が本当の母親のように育てた.この梨花,エキセントリックな発言や行動が多く,優子を連れたまま男を渡り歩く.その度に名字が変わる.
最後の父親は森宮さん,すでに小学校の高学年になっていたから,優子は「森宮さん」と呼び続ける.
森宮さんはサラリーマンをしながら食事を作り,弁当を作り,世話を焼く.
そして母親は姿を消す.
高校の同級生だった早瀬くんとの結婚が決まったとき,早瀬くんと「父親を訪ねる」旅にでる.二番目の父親,泉ヶ原はお金持ち.ベーゼンドルファーのピアノを弾かせてもらう.
ブラジルへ渡った本当の父親は,事業に失敗して日本に戻り,再婚して子供もいると知り,二人で訪ねると,幼いときに別れたのに,父親はひと目で優子を認識.
さらに,どの父親も梨花を悪く言うことはなく,優子のことも大事にしてくれた.そして,口々に「梨花は本当に優子を愛していた」と.
最後に,若い頃の病気で子供を持つことができなかった梨花は,優子を得ることによって「母親」になり,その「母親」として生きることと,おそらく短いであろう自分の命のことを考えて信頼できる相手に優子を預けることができたので出奔したらしい.
つまり,実の母→実の父→継母→継父→次の継父と渡されたバトンが早瀬くんに渡されたのです.
2021年10月28日 由宇子の天秤☆☆☆☆
米国在住の鮮人系映画評論家がバカ褒めしてたのと,あらすじを見た段階で興味をなくしたのでしたが,色々評判も良いし,そろそろ上映も終わってしまうので見に行ってきました.
いやー面白かった,長尺なのに全然気にならない面白さ.あらすじだけだと安っぽい人権映画のような感じもしますが,本当に「天秤」だらけのお話と,どんでん返しの連続で,あっと驚かされます.
無闇に人を信じたり,変な妄想で動いたりしてはいけません.
すぐに配信されると思いますので,ぜひご覧ください.
2021年10月21日 没後160年記念 歌川国芳☆☆☆☆☆ 於 太田記念美術館
ちょうど10年前,森アーツセンターギャラリーで没後150年展がありました.新国立劇場で,当時のバレエ団芸術監督のデヴィッド.ビントレーが「パゴダの王子」を初演しましたが,舞台装置は国芳からインスパイアされたもので,歌舞伎のように「振り被せ」「引き落とし」が使われていました.良い作品でした.図録にも文章を載せていました.
初めての訪問.流石は個人蔵から始まった美術館.「所蔵作品を一切持たない」国立新美術館とは逆に,この美術館の所蔵品が多くありました.ただし,絵自体が小さく,保護のために照明を落としているので見にくいのが浮世絵展の難.
混雑はしていませんでしたが,思った以上に人手があって,国芳人気が感じられました.
さて,月曜日に国立新美術館へ行ったのは「そういえば新美は珍しく休館日が火曜日だな」と思い,チケットを探したら,さすがに庵野秀明 ,休日のチケットは完売でしたが,平日は結構余裕がありそうなので,予約しました.ついでに併設のレストラン「ブラッスリー ポール・ボキューズ」のサイトを見たら「庵野秀明展特別メニュー」があったので,これも予約.
2021年10月18日 庵野秀明展☆☆☆☆☆ 於 国立新美術館
2021年10月15日 DUNE/デューン 砂の惑星☆☆☆
アメリカには歴史もないし,アメリカ人の知的レベルは恐ろしく低いので,「神話」や「叙事詩」に憧れるのか,「指輪物語」とか「ハリー・ポッター」とかに夢中になるけど,かなりの確率で「歴史上の事実」と考えてるんじゃね?
で,これも一大叙事詩なんだけど,底が浅いのよ.
ま,ハリウッドから「無重力」が消えたのは「スターウォーズ」以来のお約束だから.
映像はとてもきれいです.CGもうまいです.装置や衣装のデザインもお見事,だけどね「危ない!!」って時にフリーズしたり転んだりっていう手法は使いつくされていてイラつくの.
エンドクレジット見て「え?シャーロット・ランプリング?」って思ったのは,ベールで顔が見えないあの人だったのねってのはすぐわかったけど.
主人公のティモシー・シャラメ(おフランス系なのでティモテと発音するらしいけど)美しいけど,早く後編撮らないと劣化しちゃうよ.
できればIMAXで見てください.
縄文2021―東京に生きた縄文人― 於 江戸東京博物館
2011年10月10日四谷塩町からみる江戸のまちー近世考古学の世界☆☆☆
久しぶりに来ました.
新宿に限らず,都内は古くから人が住んでいたので,考古学的な発掘がいたるところで行われています.
汐留界隈の再開発,ゆりかもめの工事の際大名屋敷の遺跡が出て工事が長いこと中断したことも有り,最近では工事前に発掘調査をするのが当たり前になっています.
今回の展示は四谷駅前,コモレ四谷の再開発のときに更地になった広い区画を発掘したときの出土品が中心です.
四谷といえばお堀の向こうは麹町,幕府の麹御用を努めた商人の家があったりしたので,多数の麹室が発掘されました.
さて,この博物館にはサンクンガーデンが亜あるのですが,はじめて出てみました.
きれいで静謐な雰囲気の良い庭でした.
2021年10月8日 ONODA 1万夜を超えて☆☆☆☆☆
いやー泣けますよ.小野田寛郎さんが陸軍中野学校二俣分校を卒業し,ルバング島に送られ,終戦後29年経って帰国するまでのジャングル生活を3時間近い長尺で描いてますが,退屈しません.
現地の生活はWikipediaの小野田寛郎で読めますが,かなりこの通りに撮影されてます.実際はもっとたくさんの現地人を殺しているらしいし,小塚上等兵の死亡が確認された頃から日本のマスコミではかなり小野田さんの報道は流れていた.
あたくしはリアルタイムで小野田さん報道を見ていたが,帰国当初の小野田さんの目付きは「ケダモノ」のような厳しいものであったことも覚えているし,あまり感情を表にしない小野田さんだったが,約30年の人生をルバング島で供にした小塚上等兵の死に関して問われると,声をつまらせていたのが感動的だった.
小野田さんを日本に連れ戻した鈴木紀夫氏は,その10年ほど後に,雪男を探しに入ったダウラギリで遭難死し,小野田さんより早く亡くなった.
映画では小野田さんが上官から「尚武集団作戦命令」任務解除・帰国命令を受け,フィリピン軍に投降する際に,ルバング島の住民からは「鬼畜」扱いされた小野田さんを守るためにフィリピン軍が小野田さんを警護し,敬礼で応えるシーンは感動します.
現上皇,上皇后陛下が「天皇皇后両陛下」の時にパラオを訪問した際,多数の日本人戦死者を出したペリリュー島を御訪問遊された際,必要以上に大きな巡視艦「あきつしま」を宿泊所にご利用になったのは.「現地に眠る英霊に,武装解除と帰国命令を出して英霊を日本に連れ帰るため」と噂されましたが,おそらく本当だと思います.
小野田さんが昭和天皇との会談を断ったのは「天皇陛下に謝るような真似をさせられない」とのこと.
2021年10月6日 護られなかった者たちへ☆☆☆☆
悪人が一人も出てこない映画.ドローンを駆使したカットワークが美しい.
カンちゃん,見覚えあるなと思ったら,朝ドラ「おかえりモネ」のヒロインじゃない.
最後にどんでん返しはあるものの,見てればなんとなく分かる内容.それより,日本映画独特の「クライマックスで展開が突然遅くなる」のにイライラ.最後の40分を20分に詰めればもっとテンポよく見られたのに.
震災で生き残ってしまった人たちが10年後に,なんの因果か殺人事件の「犯人」「被害者」「容疑者」「捜査する刑事」として集結.
色々あるけど,本当に悪人はいないのよ.全員が「護られなかった者たち」であり「護ろうとした者たちなの」
佐藤健の三白眼が効果的.泣けます.
2021年10月3日 チェネレントラ☆☆☆☆☆ 於 新国立劇場オペラパレス
アンジェリーナ・・・・・・・脇園 彩
ドン・ラミーロ・・・・・・・ルネ・バルベラ
ダンディーノ・・・・・・・・上江隼人
ドン・マニフィコ・・・・・・アレッサンドロ・コルベッリ
アリドーロ・・・・・・・・・ガブリエーレ・サゴーナ
演奏・・・・・・・・・・・・東京フィルハーモニー交響楽団
指揮・・・・・・・・・・・・城谷正博
あまりロッシーニは得意ではない.特に,ファンなら好む「ロッシーニクレッシェンド」など,あたくしにとっては「同工異曲」と同意義と思っていた.でも違うのよ,歌手が優れていれば.
アンジェリーナの脇園嬢,アジリタも素晴らしいけど,低音から高温までまんべんなく光るし,アリア最後の超高音までギラギラ鳴らすの.メゾの声って得てして男声のファルセットのように艶のない響かない声が多いけど(数少ない例外はコソットなど)
続いてラミーロのバルベラ,本日の白眉,アンジェリーナ捜索のアリアでは見事なアジリタと成層圏の高音,拍手がやまないから,お辞儀して下がったけど,まだやまないからアンコール(bisよね)が始まったくらい.生まれて初めてbisを見たわ.欧米の歌劇場では「労働時間が長引くと組合がいい顔しないので」基本的にお辞儀もbisも禁止なの.でもそれぐらい素晴らしかった.
粟国淳ちゃんの演出はちょっと忙しないけど,うまく行ってると思った.
歌手以外で良かったのは新国の合唱団.おじさんたちがQPヘヤーでタキシード着たり,ロマンティックチュチュ履いたりして(この合唱団は世界一の合唱団と思うけど)演技もうまかった.
チェンバロが入っているとは言えレチタティーボ・セッコはほとんど無く,シーンが変わるごとにロッシーニのオペラや,プロコフィエフのバレエ版「シンデレラ」のワルツ,ベートーベンの「運命」などくすぐり担当でした.
前回のチェネレントラはシラグーザとカサローヴァが歌ったものの,プロダクションはレンタル,カサローヴァは歌唱は良いけど大根役者.
今回は新国のプロダクションなので,再演も有りでしょう.
個人的にはもう少しフェリーニ風味があっても良かったかな?
2021年9月29日 MINAMATA-ミナマタ-☆☆☆☆
水俣病患者とチッソとの攻防,そして,その患者たちや党争を写真にしたユージン・スミスの後半生の映画化.
田舎の,しかもチッソの城下町である水俣,たとえ公害といえどチッソの悪口は言えない雰囲気もあるし,水俣病患者への偏見もある.
その水俣に乗り込んだユージン・スミス.世間に写真を公表し注目を集める.
もちろん映画だから脚色はある.ユージン・スミスが乗り込んだ頃,既にチッソは有機メチル水銀はそんなに出していなかった.
患者側が裁判に勝って,チッソから保障金が出たら「ニセ患者」が頻発して,それが原因で,後の公害病の患者判定が非常に厳しくなったこと.
ユージン・スミスの著作権を管理する「アイリーン・アーカイブ」が何故か代表作とも言える「入浴する智子と母」を封印していること,については触れられていない.
日本のシーンはかなりの部分がセルビアやモンテネグロで撮影された.