2008年9月27日 おくりびと ☆☆☆☆
あたくしが最後に喪主の側に立って葬儀を出したのは20年ほど前ですが,納棺師という職業も風習もありませんでした.
1980年代の名作,伊丹十三の「お葬式」と言う映画にも納棺師は出てきませんでした.しばらく葬式とは縁がなかったので,納棺師という仕事を聞いても???でした.ATOKでも変換できないし,広辞苑にも大辞泉にも載ってません(「広辞苑」と「大辞泉」はATOKで変換できます)今日現在Wikipediaにもありません.
で,調べてみました.
どうやら北海道発祥の風習らしく,東京に進出したのは21世紀になってから見たいです.むしろ,エンバーミングから派生したような感じです.いつの間にか日本中に広まっているらしいですね.
さて,映画そのものは素晴らしい映画でした.あちらこちらで言われているとおり「お葬式」が当事者の家族の話なら「おくりびと」は当事者を迎える業者の目線の映画です.「死」と「生」と「性」を対比させているところもよく似ています.
解散したオーケストラのチェリスト小林が,故郷の山形に帰って,どういう仕事をしているかも分からず納棺師の会社に勤める.すると,女房が「そんな仕事やめて」とか「触らないで!汚らわしい」とか言うんですが,この時点であたくしはこの嫁に引いちゃいます.「葬儀屋」とか「納棺師」とかってそんな賤業なんですか?
あたくしにとって賤業とは「河原乞食」や虚業,「IT」とか「金貸し」であって,納棺師のような専門職はむしろ職人として尊敬しちゃいますが.
で,泣かせるポイントがいっぱいあります.最後に,幼いときに自分を捨てた父親の遺体を黙々と,涙を流しながら整えるモックンの演技に泣かされます.
カメラと音楽がとても綺麗です.主役達も良い演技してます.
じゃあ,モントリオール映画祭でグランプリを取るような作品なのかというと・・・・・単に日本的様式美が評価されただけじゃないかと思います.
利根川流域では「七五三」を「結婚披露宴と同じように」やる風習があります.
結婚式場やホテルの宴会場で,高砂の席に子供が座り,仲人の席に両親.子供がキャンドルサービスをしてまわルのだそうです.
東京の文化で育ったあたくしは「冠婚葬祭が派手なのは無粋」と思うので,星ひとつ減らします.あたくしは着の身着のまま,棺桶代わりに菜漬けの樽で十分です.
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