2013年2月15日 つやのよる☆☆☆☆
廻りを掘り下げることによって,真ん中を浮き上がらせる手法は,うまく行けば素晴らしい効果をあげる.あたくしが好きな小説なら,有吉佐和子の「悪女について」ドキュメンタリーなら「ミカドの肖像」.
この作品もそういった作品です.艶という本能に忠実な女性と,その女性に翻弄された男たちを,「その男に関わった女の視点」で描かれたものです.残念なのは,あまりに艶と男たちをぼかしたから「で?」な部分が多いんです.
結局,艶がどういう女なのか,その艶という女によって,男たちはどういう風に翻弄されたのかが全く伝わってきません.
ただし,映像がきれいなのと,飽きさせないつなぎ方をしているので,尺が長くても退屈はしません.
冒頭,艶の夫が包丁を研ぐシーンの音を聞いて「これは荒砥だな」と解るぐらいには包丁研ぎが得意ですし,その後病院へ向かうシーンの地層を見て「火山島かな?」と解るぐらいには地学の知識はあります.
演じる女優さんたちは見事でした.大竹しのぶさん,珍しく「叫ばない,泣かない,狂わない」演技でした.永山絢斗の毛むくじゃらの足が ハァハァ(;´Д`)…ハァハァでした.
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