2015年12月31日木曜日

ギエムの引退

オペラはもう30年以上見てるけど,バレエを真面目に見だしたのは,ほんの10年ぐらい前.
それまでもバレエを見たことはあったけど,「オペラのバレエシーン」とか「ガラコンサート」で全曲版を見たことはほとんどなかった.
新国でオペラを観るようになった頃,牧阿佐美版「ライモンダ」が上演されることになった.知人が「ライモンダが全曲で上演されることは珍しいから見たほうが良いよ」
ライモンダ?グラズノフよね?聴いたこと無いし.
主演はボリショイに移籍したばかりのザハロワとウヴァーロフ.
まず驚いたのは音楽の美しさ.序曲が鳴り始めた瞬間恋に落ちた.音楽の美しさ,装置の美麗さ,ザハロワの甲のカーブの美しさ.手を打ち鳴らすライモンダのヴァリエーション,その時にバレエに恋をした.
すぐにソーモワの胡桃も見た.ヴィシニョーワの白鳥を見て,それまで白鳥で感動したことがなかったのに,白鳥で感激した.
マールイでペレンも見た.ゲストのテリョーシキナが「ちょっとスタイル違わない?」と思った.バレエに詳しい知人から「お前バレエ見る目あるよ」と言われた.
有名なダンサーは全て見た.ラカッラ,ロパートキナ,ヘレーラ,コジョカル,レジニナ,アマトリアイン.男性ならルジマトフ,マトビエンコ,コレーラ,フォーゲル,テディー.
元論ギエムも.でも感激できない.彼女もともと体操出身で,トレーニングの一環としてオペラ座バレエに研修に来て引きぬかれた.いわゆる6時のポーズのはしり.
バレエは「プティパしか認めない」あたくしにとってギエムは「体操」であって「バレエ」ではないのよ.同じ6時でもザハロワ,ヴィシニョーワ,ソーモワとは違うのよ.
今晩彼女の引退「ボレロ」が放映される.
そもそもベジャールを認めないあたくし(1981年の「愛と哀しみのボレロ」ですでに「ベジャールは無理」だったのよ)ボレロだろうが与作だろうがベジャールは無理.
一応録画はするけど.
一番好きなダンサーは,マールイのシェスタコワ(現シャドルーヒナ)よ.彼女のニキヤとガムザッティ,ライモンダ,ジゼルを見られたのは宝だわ.

2015年12月30日水曜日

完全なるチェックメイト☆☆

2015年12月30日 完全なるチェックメイト」☆☆

あたくしが大嫌いな,アメリカ映画にたまに出てくる「気違いじゃないの,ちょっと繊細なだけなの」な「気違い擁護映画」(この映画の前は「ブルージャスミン」)
チェスプレーヤーって本当にどいつもこいつもこんな気違いな集団なの?だったら禁止したほうが良いのでは?
少なくとも棋士でこんなキチ話聞いたことがない.奇をてらって突然カツラを外したとか,ついうっかりに二歩とかは聞いたことあるけど.
ま,確かにチェス界で,冷戦下のソ連に対する米国はほとんど戦争と言っても良かったかもしれないけど,あまりにも狂いすぎ.しかもこの気違いは最終的に日本に輸出されて,アイスランドに放牧.日本を巻き込まないで!この辺りはざっくりカットですが.
教訓「周りにチェスを嗜む人がいたら,距離を置きましょう」

サン=ローラン☆☆☆☆

2015年12月30日 サン=ローラン☆☆☆☆

昨年同じような映画がサン=ローラン財団公認で公開されましたが(まもなく閉館になるシネマライズで)本作品は非公認です.そのせいか,サン=ローランの作品が(おそらく著作権の関係で)見きれた形でしか出てきません.
長い作品ですが,ダレません.やはり1976年のコレクションがメインに出てきます.パブリシティーではこの作品群を「バレエ・リュス」と関連付けているようですが,当時は単なる「フォルクローレ」で片付けていたように思います.
やはりサン=ローランのジャンキーな部分が沢山出てきます.
晩年のサンローランをヘルムート・バーガーが演じていますが,ベッドの中で「地獄に落ちた勇者ども」のイングリッド・チューリンのシーンを見るところが泣かせます.
カール・ラガーフェルトが全く出てこないのが不自然な気もしますが,セリフでは「(ダニエル)エシュテルもカステルバジャックもケンゾーも」というのは出てきました.
サン=ローランに扮したギャスパー(ガスパールだと思うけど)・ウリエルは十分に綺麗で,似ています.
裸の男や男同士の絡みが多い ハァハァ(;´Д`)…ハァハァな映画です.

2015年12月29日火曜日

海難1890☆☆☆

2015年12月29日 海難1890☆☆☆

歴史に名高いトルコの軍艦エルトゥールル号の海難救助の物語と,イラン・イラク戦争次のトルコ航空による「日本人救出作戦」を描いた映画.これだけでも涙が出てくるのに,んーーーーな部分が.
映画自体はストーリーもよくできているし,カットも美しい.だけどね,会話のシーンがダメダメなの.まるで歌舞伎か浪花節か文楽の切り場よ.
重要なシーンでは緊急事態なのに全員が手を止めて立ち尽し,主人公達の会話を眺めている.主人公達は見得を切って柝がチョーンと入りそうな会話を始める(BGMは竹本連中ね).一事が万事その調子.目の前に息も絶え絶えの海難被災者がいても,フセインの無差別攻撃が今にも始まるという時も,全員立ち尽して主人公達が見得を切るのを待っている.「暫く,あいや暫く・・・・・チョーン,しばーらーくー」みたいな.
緊張感ゼロ.
この監督さん歌舞伎の専門家なの??
遭難者を裸で暖めるというのは当時の間隔では普通なのでは?そんな躊ったり,羞じたりすることかしら(ここも柝いれてね)
かなりもったいない映画でした.
感動できるシーンはいくらでもあります.
仏教式で正装する村の顔役たちと日本人僧侶が,イスラムの聖職者と合同葬儀をするシーン.引き上げられた遺品を自発的に清拭,修理する奥様方のシーン.ドイツの船で神戸の医療施設に送られるトルコ兵と地元漁民との別れのシーン.
一方,イライラ戦争では,陸上移動での避難が可能な自国民を差し置いて「日本人避難民」を優先して助けたことに,トルコ国民から首相あてに多くの電話があったが,「称讃するものばかりで抗議は一つもなかった」と言うところは涙腺崩壊します.
エンドクレジット後にトルコ大統領のメッセージが入ります.
なお当時国際線は日航のみが運行していたが(チャーターを除く),救助要請に機長や乗務員の「組合」が「安全が保証されないこと」を理由に搭乗を拒否.ま,今に至るまで日航の組合はクソですけど.マタハラ自演とか.
当時の法律では自衛隊機を飛ばすにも国会の承認が必要,なおかつイラクまでダイレクトに飛べる航空機もなかった.48時間での救出は無理だった.
現在は地球の何処でも直行できる政府専用機(B-744)を日本国民救助のために飛ばすことができるので大丈夫です.
エンドクレジットには「エルトゥールル号受難碑」を掃除する日本人の子供たちの姿も出てきます.

2015年12月27日日曜日

偏差値28だと

色々大変ね,偏差値が低いと.
理研が作った原子番号113の元素を「ジャポニウム」と名付けようという話に,偏差値28の三国人が「新元素に自分の国の名前を付ける神経がわからない」みたいな痛い発言をしたのよ.当然来るわね.

  • ゲルマニウム
  • ポロニウム
  • アメリシウム
  • ルテニウム
  • ルテチウム
  • フランシウム
    その他色々
ま,偏差値28じゃ聞いたことが無くてもしかたがないけど.それよりあの国の中央日報が「ウリナラも見つければコリアニウムと名付けられる」という記事を出した.あのね,「元素に国の名前を付けるのは恥ずかしいことらしい」わよ
それに対して
  • ファビョニウム
  • キムチウム
  • イアンフォニウム
  • オモニウム
  • パクリウム
  • ニダニウム
  • エラニウム
候補はいくらでもあるけど,まず作ることが肝心ね
あたくしが学生の時は103までしか無かったけど.

リザとキツネと恋する死者たち☆☆☆☆☆

2015年12月26日 リザとキツネと恋する死者たち☆☆☆☆☆


久しぶりの脱力系コメディー.
時代は1970年代,ブダペストに住むアラサーのリザは「在ハンガリー日本大使未亡人 田中マルタ」の介護を12年に渡りしていた.リザの楽しみは日本語の小説「虹色の空の下」を読むことと,すでに故人となった日本の人気歌手「トミー谷」の曲を聞くこと.
6年前からこのアパートには,リザにしか見えないトミー谷の亡霊が出るけど,リザはそれも楽しんでいた.
そんな時マルタが亡くなる.親族はリザによる「遺産狙いの殺人」を疑い,実際アパートはリザに残された.
一人になったリザは日本の小説にあるように「30才の誕生日に永遠の恋人に出会う」ことを目指して恋人を探そうとする.しかし,リザに好意を寄せた人は尽く死ぬ.
そんなこんなでお金に困ったリザは,田舎から出てきたばかりで住むところのないフィンランド語の歌が好きなゾルタン刑事を下宿人にする,警察はゾルタンにリザの監視を命じる.
リザにはどうやら九尾の狐が取り付いていて,そのキツネの呪いで男が死ぬらしいと解る.呪いを解くためには「無私の愛で愛される」必要がある.その間にも次々と死ぬリザの周りの男.
ゾルタンも,ボイラーを修理すれば吹き出した炎で火傷,電気を直せば感電,トイレを直せば転倒と満身創痍.
リザは妙な誤解から,色事師ヘンリクを愛するようになるが死亡.絶望したリザは睡眠薬を飲む.その夢のなかで見たものは
ーーーーーーーーーーーーーネタバレーーーーーーーーーーーーー
実はトミー谷の亡霊は死神で,リザを愛し,ふたりだけの世界を作るため男達を殺し,絶望してリザが自殺するのを待っていた.
しかし,家の修理をしていたのがゾルタンとわかるとリザはトミー谷を拒否.ゾルタンは不穏な空気を感じてリザのもとに走る・・・・・が,途中でシャンデリアが落ちてくる,ころんだ拍子に自分の左手を撃ちぬく,ギリギリでリザの飲んだ睡眠薬を吐かせ助ける.

ふたりは結婚し娘が生まれ日本旅行をするが,車はエンコしてレッカー移動.その車の後ろにはトミー谷の姿が.

トミーが歌うのは20世紀グループサウンズっぽい軽快な音楽.適当に英語の入った(「弾むビート」とか「響くリズム」みたいな)ありそうな日本語の歌詞.
実は全てハンガリーで作られたもの.
トミーを演じているのは日系デンマーク人,デヴィッド・サクライ.日本にも10年ぐらいいたはずなのに,日本語はかなり下手.
あたくしが唯一知っているハンガリー語はjó reggelt(おはよう)だけど,ゾルタンがリザのためにしつこいほど勉強するシーンが面白い.
トミーとリザの対決シーンは「インセプション」並のCGです.
トニー谷を知っている世代にはなおさら面白い.

2015年12月23日水曜日

七面鳥

クリスマスに向けて七面鳥焼きました.
と言っても,今は家庭サイズのベビーターキー,ピクリング済みで売ってます.
冷凍で届くので,焼く2日ぐらい前に冷蔵庫に移して解凍.焼く当日冷蔵庫から出して室温に戻します.
スタッフィングは,電子レンジでチンした「冷凍チャーハン」と安く売ってたマシュルームをバターソテーしたもの.
天板に乗せて,表面にオイルを塗り塗りして,ポップアップタイマーをつけたら130℃のオーブンで90分.その後160℃で30分弱.ポップアップタイマーが飛び出たら焼き上がり.
こんな感じ.ベビーターキーは2kg弱です.焼き時間は1kg=約1時間ですから.
グレービーは,玉ねぎとセロリをクタッとするまで塩胡椒,油で炒める,小麦粉振る,七面鳥の焼き汁加える,赤ワイン加える,漉す,トマトソースとウースターソースで味整える,煮詰める.で作りました.
クランベリーソースは缶詰です.
ただね,・・・・・・・カトリックはクリスマスに肉を食わないんだよね.プロテスタントも,ヨーロッパでは七面鳥は「アメリカ大陸から来た食い物」だしね.
明日会社の食堂で解体します.

2015年12月19日土曜日

くるみ割り人形☆☆☆☆☆

2015年12月19日 くるみ割り人形☆☆☆☆☆ 於 新国立劇場オペラパレス

金平糖の精・・・・・・・・・小野絢子
王子・・・・・・・・・・・・福岡雄大
クララ・・・・・・・・・・・五月女 遥

ハーレキン・・・・・・・・・奥村康祐
トロル・・・・・・・・・・・福田圭吾
スペインの踊り・・・・・・・井澤 駿
       ・・・・・・・寺田亜沙子
アラビアの踊り・・・・・・・マイレン・トレウバエフ
       ・・・・・・・本島美和
中国の踊り・・・・・・・・・木下嘉人
     ・・・・・・・・・奥田花純
トレパック・・・・・・・・・八幡顕光
     ・・・・・・・・・福田圭吾
     ・・・・・・・・・高橋一輝
指揮・・・・・・・・・・・・アレクセイ・バクラン
演奏・・・・・・・・・・・・東京フィルハーモニー交響楽団

このプロダクションは何回も見ていて,一度も感激したことはない.初めの初台のシーンから20世紀初めのドイツに話が飛ぶところも「 ( ゚д゚)ハァ?」だし,最後のサンタクロースも.Σ(゚д゚) エッ!?
ところが,今日は本当に感激しました.
子役は「童顔で小さいダンサーが」演じることに違和感もなく.お気に入りの康祐くんはハーレキンメイクでお顔が解らない.(´Д`)ハァ…
雪の場になって,いつもながら美しい新国のコールド.児童合唱が入るとウルウル来てしまいます.
さて,終幕,井澤 駿くんは相変わらず見栄えもよく.アラビアの踊りで絶世の美女が出てきたと思ったら本島美和ちゃん.彼女本当に綺麗です.中国の男子,タッパがあって化粧映えして華があって,でも見かけない顔だと思ったら,今シーズンの入団でした.
トレパックの「オチビさんカットビ系三羽烏」一番拍手を受けてました.
最近バレエで常連のバクラン,序曲や幕間の器楽の部分がちょっと早い?感じもあったのですが「バレエ臭くなくぴったり合わせる」名人芸でした.東フィルもお見事.
最後のサンタさんで,またもやウルウル.同じ演出でなんでこうも感激できるのだろう.こう言うところが不思議なんですよね.
あー楽しかった.

2015年12月17日木曜日

そういえばスターウォーズ

最初の公開はあたくしが大学生になったかどうかの頃.デスコ調の「スターウォーズ」テーマ曲が流行った.当時の配給会社が何をトチクルったのか,日本公開を一年延期した.多分引っ張って,煽りたかったのでしょうね.結果として失敗だったけど.
待ちきれない映画ファンが,多数渡米して現地で「Star Wars」を見てきた.
で,「テーマ曲は荘厳なオケの曲,あのデスコバージョンはなに?」
今でこそお笑いだけど,当時はこれがスターウォーズのテーマだと思っていたアホが多かったのよ.特にラジオ局では.
本当のテーマはこれ.
今となっては「ジョージ・ルーカスが大金と長時間かけたインディーの自伝映画」でしかないけど.
今度のはデズニーでしょ?誰も死なないのじゃないかしら?
ま,宇宙から「無重力が消えた」のは「スターウォーズ」以降っていうのは当たりね.

2015年12月8日火曜日

ファルスタッフ☆☆☆☆

2015年12月6日 ファルスタッフ☆☆☆☆ 於 新国立劇場オペラパレス

ファルスタッフ・・・・・・・・・ゲオルグ・ガグニーゼ
フォード・・・・・・・・・・・・マッシモ・カヴァレッティ
アリーチェ・・・・・・・・・・・アガ・ミコライ
クイックリー夫人・・・・・・・・エレーナ・ザレンバ
指揮・・・・・・・・・・・・・・イヴ・アベル
演奏・・・・・・・・・・・・・・東京フィルハーモニー交響楽団

この公演も,レパートリー公演としてはよく出来ています.登場人物も多く,演技も重量なオペラですが,笑わせるオペラですから,声だけじゃ楽しめません.その点芸達者も多く楽しめます.場面転換すら楽しめます.
初演の時はカラン・アームストロングも出てました.
今日の東フィルはそこそこ聞けました.
ただ,このオペラが好きかと聞かれたら・・・・・まぁまぁかな.

ランメルモールのルチア☆☆☆

2015年12月5日 ランメルモールのルチア☆☆☆ 於 和光市文化センター大ホール
 
ルチア・・・・・・・・佐藤美枝子
エドガルド・・・・・・中島康晴
エンリーコ・・・・・・須藤慎吾
指揮・・・・・・・・・ニコレッタ・コンティ
演奏・・・・・・・・・アンサンブル彩

ルチアのベテラン佐藤三枝子が実に丁寧に,見事な狂乱の場を見せてくれました.
一方,10年ほど前に「鳴り物入りで登場した」中島康晴くん,確かに凄いテノールだけど,それだけの人,イタリア声でもないし,華もない.どうしちゃったんだ康晴くん.
デビューCDを聞いた時には「日本にもこんな声が出る歌手が現れたのか」と感動したし,生で見た時も「凄い」と思った.それが・・・しかもズングリムックリの幼児体型,6頭身.幼稚園の学芸会かい?
佐藤三枝子と少人数で立派な音を出していた,しかも一度もホルンがひっくり返らなかったアンサンブル彩がすごかった公演でした.
でも,所詮ドニゼッティですからねえ.

杉原千畝☆☆☆

2015年12月8日 杉原千畝☆☆☆

監督はローマ字表記だけど,実質日本人です.だから,日本映画独特の「浪花節」感,テンポの悪さがあります.
ま,杉原千畝が敗戦まで一度も涙を流すシーンが無いのだけおまけしてあげましょう.
ポーランドでポーランド人キャストメインで撮影しているし,唐沢寿明の英語も無理がないし,妙な不自然さは無いのだけど,小雪の日本語がところどころ乱雑になるのが・・
あの当時はご主人に対しては常に敬語であったはず.
最初の結婚の話とか,ちょっと都合の悪いところは端折ってあります.
でも,泣けます.それなりに感動できます.できれば戦後の千畝の話をもっと入れてもらいたかったです.いろいろな仕事を転々としていますが,全て一流企業です.
没後のことも欲しかったです.
見て損はない映画です.

2015年12月1日火曜日

黄金のアデーレ☆☆☆☆☆

2015年12月1日 黄金のアデーレ 名画の帰還☆☆☆☆☆

久しぶりに感動した映画.ウィーンのベルヴェデーレ宮殿に飾られている,クリムトに描かせた伯母,アデーレの絵,(クリムトのモデルになったのではなく,クリムトに描かせた)ナチに没収され,不当にオーストラリア政府所有になったその絵を,伯父の遺言により引き継ぐはずだった,アメリカに亡命した姪,マリアが取り戻すまでの話.
戦前のカラーを絞った映像と現代のLA,ウィーンのストーリーが見事に進みます.
オーストリア政府のPRで「芸術品返還計画」が始まるものの「オーストリアのモナリザ」と言われる「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像」が米国に亘るとは思われなかった.
重なることのなかったこの2つの時代は,絵画が調停でマリアのものになった時,初めて絡み合い,嘗ての幸せだった家庭の中に,今のマリアが佇み,暗転.
「器用でデリケートで、面白くてふてぶてしい」マリアを,ヘレン・ミレンが見事に演じてます.
あたくしも何度か行ったウィーンの風景が綺麗ですが,意味もなくシェーンブルン宮殿だの,プラーター公園などが映るところがちょっと鬱陶しいかな.
担当した若い弁護士は,アーノルド・シェーンベルグの孫だそうです.更に「ナチに奪われた芸術品の奪還運動をしている,エステイ・ローダーの息子も一役買ってます.
それにしても,スピルバーグと良い,ユダヤ人ってなんで「不意にユダヤ人に戻って」しまうのかしら?

Estée Lauder,アクサンがつくから英語ではなんて発音するのかな?と思ったら,ヘレン・ミレンは「エステイ」と発音してました.英語にはエーで終わる単語がないから「エイ」になるのよ.「バレエ」が「バレイ」,ビュッフェが「バッフェイ」みたいに.

2015年11月29日日曜日

トスカ☆☆☆☆

2015年11月29日 トスカ☆☆☆☆ 於 新国立劇場オペラパレス

トスカ・・・・・・・・・・・マリア・ホセ・シーリ
カヴァラドッシ・・・・・・・ホルヘ・デ・レオン
スカルピア・・・・・・・・・ロベルト・フロンターリ
指揮・・・・・・・・・・・・エイヴィン・グルベルグ・イェンセン
演奏・・・・・・・・・・・・東京フィルハーモニー交響楽団

いやーーこのプロダクションは本当によくできている.新国のレパートリー公演で最高のできじゃないか?(あと.ラ・ボエーム)
非常にスタンダードな演出ながら,豪華絢爛,それでいてゼフィレッリのような無駄遣いもない.テ・デウムのシーンの美しさなんか凄いと思います.
終幕のサンタンジェロも,舞台が上がったり下がったりの「アイーダ」状態ながら,説得力があります.
で,歌手は満足するレベル.感動するレベルじゃないけど.東フィルも「らしい」ひっくり返るホルンも少な目で.
メトの「ゼフィレッリ,ラ・ボエーム」はもう数十年使われているけど,このプロダクションも絶対に「無くしてはいけない」プロダクションだと思います.
演出家はこの夏,大往生したので,カテコで遺影が出てきました.合掌.
一方で何回やっても「椿姫」は悲惨だけど・・・・・

オペラグラスでよく見たら,通行許可証書くスカルピア,封蝋でシールして,吸い取り砂かけてフーフーしてるのよね.芸が細かい.
けど,今の日本で「封蝋」や「吸い取り砂」知ってる人間が何人いるか?

2015年11月27日金曜日

愛の伝説☆☆☆☆

2015年11月27日マリインスキー・バレエ公演 愛の伝説☆☆☆☆ 於 東京文化会館大ホール

女王メフメネ・バヌー・・・・・・・・ウリヤーナ・ロパートキナ
王女シリン・・・・・・・・・・・・・クリスティーナ・シャプラン
画家フェルハド・・・・・・・・・・・アンドレイ・エルマコフ
指揮・・・・・・・・・・・・・・・・アレクセイ・レプニコフ
演奏・・・・・・・・・・・・・・・・マリインスキー歌劇場管弦楽団

本日ゲルギーは客席にいました.
さて,マリインスキーが滅多に外に持ち出さない「愛の伝説」しかも振り付けは,その後長くボリショイの芸監グリゴロービッチ.
原作は,今はロシアとは微妙な関係のトルコ人詩人.作曲はアゼルバイジャン人.
曲調は,お隣アルメニア人(出身はジョージアだけど)のハチャトゥリアンによく似ている.1961年初演という割には古めかしい音楽.でもわけわからんツィマーマンとかベルクに比べると,一応旋律があるから聴きやすいし,オーケストレーションも面白い.
振り付けのグリゴロービッチはボリショイでハチャトゥリアンの「スパルタカス」を振りつけている.振り付けもよく似ている.
とにかく群舞が多い.しかも群舞1が終わると群舞2が始まり,次に群舞3.合間にソロのパートが入ったり,ソロと群舞が踊ったり.しかもカットビ系も多く.
全ての姿勢が「ブロンズアイドル風」なのは許しましょう.
ロパートキナはもう別格ですね.彼女が踊ればどんな作品も素晴らしく見える.まさに「ロシアの至宝」
もちろんロシアにはヴィシニョーワもザハロワもいるけど,こういったダンサーとは一線を画する雰囲気(なぜか変換できる)がある.
マリインスキーのダンサー,前回もドタキャンダンサーが多く,「オールスター(スターは出ないよ)ガラ」になったけど,今回もソーモワ,マトヴィエンコ嫁がドタキャン,テリョーシキナは遅れて参加.毎回予定通りに踊るのはヴィシとロパートキナぐらいだよ.
名作とは言いがたい作品だとは思うけど,まーったく記憶に残らない「イワンと小馬(せむしの子馬)」よりは良い作品だと思いました.

2015年11月7日土曜日

ぱよぱよちーんで通報

あたくしは左巻きの人達が大嫌いなのだけど,だって,あたくしのように「極右のレイシスト」を自任しているものでさえしないような差別的な発言するし,(ま,そもそも理解力と情報調査能力がないから左に巻くのだろうけど)頭悪いし,言っていることとやっていることがが全く辻褄が合わないし.
で,ここ数日楽しませてくれている「ぱよぱよちーん」事件ですが,左巻き連中は「ネトウヨの住所氏名学歴勤務先を集めて公開しても合法」とか「敵が攻めてきたら,戦争なんかしないで一緒に酒を酌み交わし仲直りする」みたいなことを言ってたのよ.
ところが,ネトウヨがぱよぱよちーんさんの家に凸したら,なんと,警察に通報したのですって.まー左巻きが警察に助けを求めるってなんなの?酒と肴ぐらい出せばいいのに.ケチね.
ま,あたくしだって生活保護受けようと思ったら,どうどうと共産党か創価学会の手助けを受ける覚悟はあるけど.
で,ぱよぱよちーんさん,会社辞めちゃったのね.いい年して不祥事で退職じゃ,次無いわよ.
ま,日本スマートフォンセキュリティ協会は顛末を警察に相談したそうだから,刑事事件にならないように祈ってます.( ̄ー ̄)ニヤリ

2015年11月6日金曜日

PAN〜ネバーランド,夢のはじまり☆☆☆

2015年11月6日 PAN〜ネバーランド,夢のはじまり☆☆☆

映像は綺麗なんだけど,所詮ハリウッドが絡むと偏差値28のぱよぱよちーんな内容になるのかしら?

  • どんなテーマの映画でも原作無視で♂と♀がまぐわうための話になる.
  • まぐわうためなら親子でも親友でも裏切る.
  • 何人であってもヒロインは英語を理解する.
  • 大体において主人公はかなりのヘタレで殴りたくなる.
  • 最後の反撃の時,殺されそうなヒロインと悪の枢軸を放っておいて,雑魚から片付ける.
  • 何故か最後にヘタレ主人公が勇猛果敢になる.
まーーーお約束のように上記の映画でした.かなりイライラしました.
時間の都合で「吹替3D」版で見ましたが,3Dである必要は全くありません.むしろ,安っぽい3Dなので,2Dの方が良いでしょう.吹替はフック船長役の成宮寛貴がうまかったです.
ま,原作の著作権は切れてますから,こんな改変もありでしょう.

2015年11月1日日曜日

ホフマン物語☆☆☆

2015年11月1日 ホフマン物語☆☆☆ 於 新国立劇場オペラパレス

ホフマン・・・・・・・・・菅野英雄
オリンピア・・・・・・・・奥田花純
アントニア・・・・・・・・米沢 唯
ジュリエッタ・・・・・・・本島美和
リンドルフ・スパランザーニ・ドクターミラクル・ダーパテュート
・・・・・・・・・・・・・貝川鐵也
ラ・ステラ・・・・・・・・堀口 純
指揮・・・・・・・・・・・ポール・マーフィー
演奏・・・・・・・・・・・東京フィルハーモニー交響楽団

んーーーーーオペラを知らない人にはわからないだろうな.おまけに,あの大長編をかなり刈りこんでるから,ニクラウスもミューズも出てこない.英国作品だからオランピアはオリンピア,ダーパテュートって誰よ?あ,ダッペルトゥットね.
音楽はオペラオリジナルが多いのだけど,使い方が変わっているので,??も多い.
例えば,オペラではあっさり歌われた「Elle est très bien!」の音楽が思い切りテンポ落として延々と使われたり,「小鳥は飛び去った」もやたら使われたり.ジュリエッタのシーンはなぜか吸血鬼物語みたいになってるし.
その癖アントニアで突然PDDが聞いたことのない音楽で始まったり,プロローグには「ブン大将」の音楽も入ってたり.
振り付けはプティパ=アシュトンの流れだからあたくしの好み.
多分このバレエは前世紀の遺物「シューダンス版」から作っていると思うけど,突然終わるのはシューダンス板でもエーザー版でもないし.

2015年10月30日金曜日

何がハロウィンだ

あたくしはハロウィンもそれ以外のキリスト教の祝い事も,原則参加しません.
キリスト教徒でもないし.
ま,クリスマスに七面鳥を焼くぐらいのことはしますが,単に料理が好きだから,丸ごとの肉を焼いてみたいというだけのこと.この時期は手頃なサイズの七面鳥が手に入りやすいから.
そもそもカトリックはクリスマスに肉を食わない.だから,敬虔なカトリックの国,ポーランドとかクロアチアとかは鯉を料理する.七面鳥だって新大陸由来だから,歴史的にヨーロッパの人たちは食べていなかった.かつてはガチョウがクリスマスディナーの定番だった.(マクドナルドや他のハンバーガー店が必ず「フィッシュバーガー」をメニューに入れているのは「金曜日には肉を食わない」カトリックのため)
先住民の祭りや宗教を徹底的に潰したキリスト教も,ケルト人の大みそかである10月の31日は無視できなかった.だからキリスト教に組み込んで「万聖節」All Hallow's evening,略してHallowe'enになった.かぼちゃも新大陸由来だから,ヨーロッパでは使われなかった.スウィードと呼ばれる大きな蕪を使った.

ハロウィンとセントパトリックデーは,ヨーロッパ紀元だけど,騒ぐのはアメリカ人だけ.ヨーロッパでも(ここ数年は多少騒ぐけど)ほとんど何も行われない.

そして,何よりハロウィンが嫌なのは,都心から始まり,飛びついたのがベッドタウンと言われる地域の「意識高い系親子」(意識高いと意識高い系は違う)
都心はアメリカ人も多いので,一部地域ではハロウィンが行われていた.そういうところに仮装した田舎の親子が飛び入りで参加するようになった.都心の地域では見慣れない親子がウロウロするということで,参加する子供も,子供が訪問していい家庭も登録制になって,締め出した.
そうしたらベッドタウンで,自分たちで始めだした.と言う経緯があったので「全く田舎もんのすることは」という偏見があった.
ハロウィンにしろ,セントバレンタインデーにしろ,子供たちがワイワイ騒ぐは可愛くて微笑ましいけど,他に楽しみを知らない下流のDQNたちが参加するような薄っぺらい催しには嫌悪感しか感じません.バブル時代のF1と同じ.
F1はバブル後の低迷期を越えて,真面目なファンが増えて復活した.
ハロウィンと恵方巻きは露骨に商売の匂いが強いからね.騙される底辺がいても構わないけど.
ハロウィンももう少ししたら落ち着くかもね.そうしたらあたくしも参加するかも.

2015年10月27日火曜日

ギャラクシー街道☆☆

2015年10月27日 ギャラクシー街道☆☆☆

んーーーーー何がしたいのか解らない.何が言いたいのかわからない.未来の宇宙で宇宙人たちが「グランドホテル」形式で色々やらかすのだけど,突拍子もないだけで,意外さも驚きもない.映像はそれなりに綺麗だけど.
三谷幸喜の作品は大体好きなのだけど,これに関しては・・・・・・・
西川貴教の歌唱力が半端なくすごいことだけは解った.いや,この歌だけで元は取れるのじゃないか?

追記
いやーーーYahooの映画評見たらあまりにも酷評ばかりで驚いた.おまけに「西川貴教の歌唱力だけ褒めている」のも同じ.
くれぐれも見ないように.

2015年10月25日日曜日

台南から台北へ

隆田から台南へ向い,一泊.

こんなお料理も食べました.今回は時間の都合で名物タウナギは食べられませんでした.
それにしても台南は暑い.

台湾のコンビニにはどこでもストロングボウのサイダーが置いてあります.久しぶりに飲みました.

高鉄で台北へ.
台北着が時間が早かったので,ホテルに荷物を預け,

地下鉄で猫空のゴンドラに乗りに.
台北の移動は地下鉄が便利です.2-3分毎に来ますし,料金が安い.ICカードである悠遊カード(Easy card)で清算すれば,一回たったの16元です.
動物園前で降りて少し歩くとゴンドラ乗り場があります.
こちらも悠遊カードで払えます.
ものすごく混みます(と言っても30分待ちぐらいかな)
猫空のゴンドラへ.
途中でほぼ90度曲がって,山三つ超えて登ります.残念ながら同乗したオツムの弱い日本人のお嬢さま方が,DQN系のお話をなさっているのが録音されてしまいました.
頂上には屋台やら,飲食店やらオサレなカヘやらがたくさんあります.


ま,あたくしは屋台系の食い物を缶ビールと一緒に.

実はなぜかこのゴンドラ,「帰りは空いている」と言う情報が多かったのです.で,並んでみると,ほとんど人がいない.だから底がガラス張りの「クリスタルキャビン」もガラガラだったのでこちらに乗ることに.大陸のガラスと違って,簡単には割れません.

続いて西門へ.わ,若すぎる,渋谷だよ!ここは.退散!

夜市へ.ま,夕方から開店するアメ横って感じですか.

食べ物を買ったけど,ホテルに戻ってビールと一緒に食いました.地下鉄で10分ほどでした.夜市ではほとんどビール売ってないんです.
翌日は市内観光

行天宮と,その前でお供えを売る売店.台湾のお供えは,持ち帰って家族で食べるので,自分たちが食べたいものを供えます.だから殆どが日本製のお菓子です.

蒋介石を祀ってある中正記念堂.なぜか写り込む指の形の心霊写真.

ここにも心霊写真.

ウスギモクセイでしょうか.キンモクセイと同じ匂いがしました.

お昼はここで.

在り来りの料理ですが,やはり台湾料理は美味しいです.

続いて故宮博物館.
あまりの混雑に,日本で見られなかった角煮と白菜だけ見てでてきました.

忠烈祠 日本で言うところの靖國神社.台湾の英霊が祀られています.ここの衛兵交代式は ハァハァ(;´Д`)…ハァハァものです.
衛兵の条件は質実剛健,眉目秀麗.全員身長180cm以上.任務中は瞬き一つしません.
靴の踵には鉄の鋲が打ってあるので,行進中足音が格好良く響きます.
 今回は陸軍が担当でしたが,ハァハァ(;´Д`)…ハァハァ度は空軍,海軍,陸軍の順だそうです.
行進の跡が轍のように残っていますね.
市内観光が終了したら,今度は別の夜市へ.
夜は台北101の展望台へ.

夕方から雨模様だったのであまり視界はよくありませんが.
ここにもガラスの床が.大陸と違って(ry

展望台の下は,広大な珊瑚売り場.なぜ?

今回お世話になった台北のゲイバーScorpio.小さな灯りがあるだけのわかりにくいお店ですが,入り口には日本と同じ「会員制」とあるのですぐ分かります.
ママさんは日本語が達者ですし,日本語カラオケもあります.お客さんも日本人観光客が多いです.

さて,最終日.チェックアウト後,またもや荷物を預かってもらって台北駅へ.
立派な駅です.商店街もたくさんあるのでお土産物も調達できます.

最後の台湾料理.本当に台湾お料理はあたくしの口に合うわ.
システムトラブルでpassbookが使えないとかで,何年ぶりかでプリントアウトの搭乗券.

帰りの機内食はラザニアを選択,
羽田に着いて,CIQを終え,外に出たら5分後に発車のリムジンバスに乗れました.帰りは楽できる.
また行きたくなる台湾でした.

八田與一先生墓参

次の目的地は烏山頭ダムです.台中から台南にかけては嘉南平野と呼ばれる広大な平地が広がっていますが,干魃に悩まされていたこと,塩害がひどかったことから,全く農地として役に立たない不毛の平野でした.しかし,この辺りは温暖で気候も良いので「水さえあれば一大穀倉地」になる可能性がありました.

日本人土木技師の八田與一氏はこの地にダムを作り,灌漑設備を充実させ嘉南大圳と呼ばれる水利設備を作り上げました.はじめは貯水量が少なかったため「稲,砂糖黍,雑穀」の三毛作を行いましたが,現在は年四回の稲作が可能な台湾一の穀倉地帯になりました.農民も潤い,生活が安定しました.
それだけではなく,八田は,マラリアの予防のための薬(キニーネ?)を飲みたがらない現地労働者に飲ませるべく,労働者を一列に並べて薬を飲ませ,全員の口の中を覗いて薬を飲んだか確認したり,労働者の慰労のために色々催しをしたり,博奕で捕まる労働者が多かったので,治外法権にして度を越した博奕以外は認めたりと現地人のために色々と骨を折りました.
あたくしには詳細はわかりませんが,烏山頭ダムは,現存する世界で唯一のセミ・ハイドロリックフィル工法ダムだそうです.台湾の地質に合わせて,コンクリートを使わずに最も耐久性のあるダムを作れたのがこの工法だとか.
八田與一氏はその後,1942年フィリピンでの灌漑調査に向かう途中,乗っていた船が米軍の潜水艦に撃沈され亡くなりました.1945年,終戦後,日本に引き上げる準備を済ませた未亡人は,子供たちを着替えさせ,見送ると正装して烏山頭ダムに向かい,放水口に身を投げ自死なさいました.あたくしの目的は墓参です.

烏山頭ダムに行くには幾つかルートが有ります.金持ちは嘉義からタクシーをチャーターして向かうそうです.現地観光案内所で色々聞いたら,あたくしのような貧乏人は台鉄で台南方面に向い隆田から向かうのがリーズナブルのような.
隆田の駅前にタクシーが屯しているので交渉します.
ネットで検索したら「烏山頭ダム,八田與一記念館,八田與一記念公園」を回って隆田の駅まで戻るコースが700-750元位の値段,今年は800元ということなのでお願いしました.(東京人は言い値で買うのが美徳,値切るなんてもってのほか)
ダム入り口で200元払います(観光客だけ,運転手,ガイドは無料)

八田與一氏像.この像は戦争中供出にあいそうになりました.供出の時,何故か行方不明.村人達が隠蔽したのです.戦後ここに再度置かれました.

像の裏に御夫婦のお墓が.お線香を手向け慰霊.



ダムの水.

夫人が身を投げた旧放水口.現在はほとんど放水しないそうです.ここに八田與一記念館があります.KANOで八田與一を演じた大沢たかおのサインも展示されてます.

5分ほどドライブすると八田與一記念公園があります.当時の八田邸や近隣の家庭が再現されていたり(かなり盛っているようです.)


新たに奥様(外代樹さん)の像が増えたり.
現地の高校生が課外授業か何かで大勢訪れていました.

KANO

続いて嘉義市へ.映画KANOの舞台となった街です.
高鉄の「嘉義」からバスで30分ほどで台鉄の嘉義につきます.

チェックインしたホテルが,超豪華ホテル.一応三つ星でリクエストしたのですが.


バスタブだけじゃなく,シャワーブースまで.

中央噴水.KANOの学生さんたちが「甲子園,甲子園」と走ってた噴水です.
駅前にも噴水はあります.

この鶏飯は嘉義名物だとか.

Kanoの駅のシーンは台鉄ではなく,阿里山森林鉄路の駅だったとか.


現在のKANO,国立嘉義大学です.
阿里山森林鉄路の北門駅近くに「KANO故事館」があり,映画に使われた小道具などが展示されています.

ホテルで紹介してもらったバー.ホテルから徒歩五分ほど.なかなかオサレなバーでした.

嘉義の駅から今度は烏山頭ダムへ.

謝謝台灣

台湾行ってきました.
セデック・バレ,KANOと台湾映画を続けて見て,さらに震災の時の台湾の皆さんの御尽力に感激して「何日かはお礼をしなければ」と思っていたのですが,所詮あたくしができるのは「日本円をばらまくことだけ」微力ながらお手伝い.
ついでに霧社事件,嘉農,烏山頭ダムも訪ねることに.
あたくし,ヨーロッパは何度も行ってるし,パリやウィーンなんかは土地勘もあるので問題ないけど,アジアは素人.どうしようかネット検索してたら「かなりややこしい旅でも承ります」なサイトをハケーン,上記のことを伝えた.
ウェブトラベルさん.直ぐに回答が来た,でも・・・・・・高い.
やはり場所が場所だけに,専門のガイドや車のチャーターが必要.ちょっとちょっと「クロアチアドイツ10日間」よりはるかに高いよ.
でも霧社とか嘉農はツアーもないし(最近JTBがKANOのツアーは始めたらしい)
で,
HND-TSA
台北→台中(高鉄)泊
台中→霧社 泊
霧社→台中→嘉義 泊
嘉義→烏山頭水庫→台南 泊
台南→台北 泊×2
TSA-HND
台湾なんか行ったこと無いし,楽しめるかしら?てなわけで旅行開始.
まずは,HND-TSAが結構早い便だったので,羽田前のり,ついでに売り専デリバリーでお楽しみの後,ホテルのシャトルで羽田の国際線ターミナルへ.


喉を潤しながら出発便を待つ.

シップは初めて乗るB787.事前にEDカードをネット申請したので,イミグレでは「Internet」と言うだけでOK.写真と指紋で1分ほどで入国完了.

高鉄(新幹線)で台中へ.

その後台鉄で「台鉄台中駅」へ
台湾の高鉄駅は,台鉄駅から10-20Km離れていることが多く,東京駅や新大阪駅のように考えていたらとんでもないことになりますので,予め乗り換えをチェックしておいたほうが.
台中は台鉄台中駅まで電車がありますが,嘉義はバスしかありませんでした.

台中駅からバスでホテルへ.

ホテルは結構豪華ながら,駅からそれなりに遠いので,専用バスの団体観光客が多いホテルでした.

翌朝あたくしはチャーターした車で霧社へ.
霧社事件の首謀者とされるマヘボ社の頭目,モーナ・ルダオの像.
「抗日の英雄」のように持ち上げられていますが,本当はモーナ・ルダオの息子と日本人警官との私怨のようで,そもそも原住民の頭目は度重なる日本政府の接待旅行で,日本の軍事や人口,文明を知っていたので「戦いを挑めば皆殺し」とわかっていた.
だから半数の頭目は参加しなかったし,「やるなら最後まで自分たちで責任を持て」と傍観した.
しかし,手打のために誰か人身御供が必要で,首謀者の父親でありマヘボ社の頭目であったモーナ・ルダオに責任を押し付けたというのが真実のようです.
蒋介石の時代に「日本人を殺した人はみな抗日の英雄」と持ち上げられたようです.
お線香を手向け,安寧を祈りました.
霧社事件の現場,霧社公学校の跡地.現在は台湾電力の施設になってます.結構狭い.
原住民の胸像.額と顎の下の模様は文身です.女子は「機織りができるようになると」男子は「首狩りをすると」その証として文身をします.文身がないまま死ぬと,虹の橋を渡って先祖の地に帰れないと言われます.
人種的には台湾原住民はポリネシア人と関係が深く,身長も180cm前後と大きい人が多かったということです.文身,キンマ噛みなども共通する文化です.
現在この階段の上には廟がありますが,嘗ては神社でした.蒋介石の時代に鳥居も灯篭も壊されましたが,地元民が記憶を頼りに再建しました.「なんか変」ですが,世界で一つの鳥居になってます.
霧社のホテル.ユースホステル程度の設備でしたが,NHKも映るし,Wifiも入りました.
霧社の役場で,川中島在住の原住民の方に会い,川中島へ案内してもらいました.
事件の後,生き残った原住民は川中島と呼ばれる地区に強制移住させられました.
しかし,「日本人から農業を習い,明日をもしれぬ狩猟生活から,安定した農民に変わることができた」と好評のようでした.
ここには「余生記念館」があります.
原住民の衣装や,
セデック・バレで使われた衣装も展示されてます.
さて,霧社の街

メインストリートはこんな短いところですが,さすが台湾,飲食店は多いし,セブンイレブンもあります.
朝食の豆乳と肉まん.豆乳なんて日本では飲んだこともないけど,この豆乳は美味しかった.
さて,高鉄台中駅に戻り,嘉義へ.