2010年6月17日木曜日

フラワーズ

2010年6月17日 フラワーズ☆☆☆☆☆

昭和から平成の世へ,三代六人の女性を通じ,紡がれる命の糸を見事に描いています.日本映画にありがちな湿っぽさ,くどさ,うっとうしさが少ないきれいな映画です.
物の見事に何にも起きません.エピソードの羅列と言うより,コラージュに等しいほど誰も何も語りません.観客は何となく想像する以外ありません.そして本当のことはエンドクレジットを見るまで分かりません.
女学校まで出たため,進歩的だったおばあちゃん「凜」は,親の決めた許嫁との結婚を拒み,花嫁衣装のまま逃げ出す.母親に「幸せだったの?」かと聴くと,にっこり笑う.
納得して嫁に逝くと,相手はイケメソでもう,「ポー」っとしてしまう.
そして,三女をもうける.長女は幸せな結婚をするが,すぐに夫に死なれ,寡婦として過ごす.次女はキャリアウーマンの出始めで,今なら解雇ものの男女差別やセクハラに悩まされる.三女は結婚するが,体力的に難しいと言われた出産に二度トライし,二度目に死ぬ.
そして,その三女の二人の娘.長女は「ピアニストになる」と東京に出たものの,ピアニストの譜めくりぐらいしか仕事がない.おまけに妊娠していて男に逃げられる.凜ばあちゃんの葬式で久しぶりに実家に帰ると,妹は結婚していて,子供がいて,何をしても楽しそう.
そんな彼女たちの生活を淡々と描きます.
おばあちゃんの時代はコントラストが強めのモノクローム,昭和30年代から40年代は若干退色したテクニカラー風(三色分解ではないほう)風なカラー,衣装や化粧の考証もお見事ですが,若干古すぎる嫌いがあるかも.昭和40年代ならサイケファッションもあったはず.禁煙と言う概念も無かったから,列車(電車は禁煙になっていたけど)も食堂も,紫煙だらけだったはず.
ま,ほのぼのまったりするのに最高の映画です.あたくしは結構グッと来て,泣きました.

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

こんにちは。
いつも楽しく拝見しています。
昭和30年代でテクニカラーって言えば、
一般的に三色分解のものを指すのでは
ないでしょうか。退色するとすれば、
イーストマンカラーなどだと思います。

Esclarmonde さんのコメント...

テクニカラーには「テクニカラー方式」と言う意味以外に「テクニカラー現像所」と言う意味もあります.そっちの意味です.
1950年代には多層式コダクロームが普及していますから,三色分解のテクニカラーで撮影された映画は恐ろしく少ないと思います.(フィルムセンターがアナログ時代にカラーネガを三色分解して保管したことはあるようですが)