2015年12月31日木曜日

ギエムの引退

オペラはもう30年以上見てるけど,バレエを真面目に見だしたのは,ほんの10年ぐらい前.
それまでもバレエを見たことはあったけど,「オペラのバレエシーン」とか「ガラコンサート」で全曲版を見たことはほとんどなかった.
新国でオペラを観るようになった頃,牧阿佐美版「ライモンダ」が上演されることになった.知人が「ライモンダが全曲で上演されることは珍しいから見たほうが良いよ」
ライモンダ?グラズノフよね?聴いたこと無いし.
主演はボリショイに移籍したばかりのザハロワとウヴァーロフ.
まず驚いたのは音楽の美しさ.序曲が鳴り始めた瞬間恋に落ちた.音楽の美しさ,装置の美麗さ,ザハロワの甲のカーブの美しさ.手を打ち鳴らすライモンダのヴァリエーション,その時にバレエに恋をした.
すぐにソーモワの胡桃も見た.ヴィシニョーワの白鳥を見て,それまで白鳥で感動したことがなかったのに,白鳥で感激した.
マールイでペレンも見た.ゲストのテリョーシキナが「ちょっとスタイル違わない?」と思った.バレエに詳しい知人から「お前バレエ見る目あるよ」と言われた.
有名なダンサーは全て見た.ラカッラ,ロパートキナ,ヘレーラ,コジョカル,レジニナ,アマトリアイン.男性ならルジマトフ,マトビエンコ,コレーラ,フォーゲル,テディー.
元論ギエムも.でも感激できない.彼女もともと体操出身で,トレーニングの一環としてオペラ座バレエに研修に来て引きぬかれた.いわゆる6時のポーズのはしり.
バレエは「プティパしか認めない」あたくしにとってギエムは「体操」であって「バレエ」ではないのよ.同じ6時でもザハロワ,ヴィシニョーワ,ソーモワとは違うのよ.
今晩彼女の引退「ボレロ」が放映される.
そもそもベジャールを認めないあたくし(1981年の「愛と哀しみのボレロ」ですでに「ベジャールは無理」だったのよ)ボレロだろうが与作だろうがベジャールは無理.
一応録画はするけど.
一番好きなダンサーは,マールイのシェスタコワ(現シャドルーヒナ)よ.彼女のニキヤとガムザッティ,ライモンダ,ジゼルを見られたのは宝だわ.

2015年12月30日水曜日

完全なるチェックメイト☆☆

2015年12月30日 完全なるチェックメイト」☆☆

あたくしが大嫌いな,アメリカ映画にたまに出てくる「気違いじゃないの,ちょっと繊細なだけなの」な「気違い擁護映画」(この映画の前は「ブルージャスミン」)
チェスプレーヤーって本当にどいつもこいつもこんな気違いな集団なの?だったら禁止したほうが良いのでは?
少なくとも棋士でこんなキチ話聞いたことがない.奇をてらって突然カツラを外したとか,ついうっかりに二歩とかは聞いたことあるけど.
ま,確かにチェス界で,冷戦下のソ連に対する米国はほとんど戦争と言っても良かったかもしれないけど,あまりにも狂いすぎ.しかもこの気違いは最終的に日本に輸出されて,アイスランドに放牧.日本を巻き込まないで!この辺りはざっくりカットですが.
教訓「周りにチェスを嗜む人がいたら,距離を置きましょう」

サン=ローラン☆☆☆☆

2015年12月30日 サン=ローラン☆☆☆☆

昨年同じような映画がサン=ローラン財団公認で公開されましたが(まもなく閉館になるシネマライズで)本作品は非公認です.そのせいか,サン=ローランの作品が(おそらく著作権の関係で)見きれた形でしか出てきません.
長い作品ですが,ダレません.やはり1976年のコレクションがメインに出てきます.パブリシティーではこの作品群を「バレエ・リュス」と関連付けているようですが,当時は単なる「フォルクローレ」で片付けていたように思います.
やはりサン=ローランのジャンキーな部分が沢山出てきます.
晩年のサンローランをヘルムート・バーガーが演じていますが,ベッドの中で「地獄に落ちた勇者ども」のイングリッド・チューリンのシーンを見るところが泣かせます.
カール・ラガーフェルトが全く出てこないのが不自然な気もしますが,セリフでは「(ダニエル)エシュテルもカステルバジャックもケンゾーも」というのは出てきました.
サン=ローランに扮したギャスパー(ガスパールだと思うけど)・ウリエルは十分に綺麗で,似ています.
裸の男や男同士の絡みが多い ハァハァ(;´Д`)…ハァハァな映画です.

2015年12月29日火曜日

海難1890☆☆☆

2015年12月29日 海難1890☆☆☆

歴史に名高いトルコの軍艦エルトゥールル号の海難救助の物語と,イラン・イラク戦争次のトルコ航空による「日本人救出作戦」を描いた映画.これだけでも涙が出てくるのに,んーーーーな部分が.
映画自体はストーリーもよくできているし,カットも美しい.だけどね,会話のシーンがダメダメなの.まるで歌舞伎か浪花節か文楽の切り場よ.
重要なシーンでは緊急事態なのに全員が手を止めて立ち尽し,主人公達の会話を眺めている.主人公達は見得を切って柝がチョーンと入りそうな会話を始める(BGMは竹本連中ね).一事が万事その調子.目の前に息も絶え絶えの海難被災者がいても,フセインの無差別攻撃が今にも始まるという時も,全員立ち尽して主人公達が見得を切るのを待っている.「暫く,あいや暫く・・・・・チョーン,しばーらーくー」みたいな.
緊張感ゼロ.
この監督さん歌舞伎の専門家なの??
遭難者を裸で暖めるというのは当時の間隔では普通なのでは?そんな躊ったり,羞じたりすることかしら(ここも柝いれてね)
かなりもったいない映画でした.
感動できるシーンはいくらでもあります.
仏教式で正装する村の顔役たちと日本人僧侶が,イスラムの聖職者と合同葬儀をするシーン.引き上げられた遺品を自発的に清拭,修理する奥様方のシーン.ドイツの船で神戸の医療施設に送られるトルコ兵と地元漁民との別れのシーン.
一方,イライラ戦争では,陸上移動での避難が可能な自国民を差し置いて「日本人避難民」を優先して助けたことに,トルコ国民から首相あてに多くの電話があったが,「称讃するものばかりで抗議は一つもなかった」と言うところは涙腺崩壊します.
エンドクレジット後にトルコ大統領のメッセージが入ります.
なお当時国際線は日航のみが運行していたが(チャーターを除く),救助要請に機長や乗務員の「組合」が「安全が保証されないこと」を理由に搭乗を拒否.ま,今に至るまで日航の組合はクソですけど.マタハラ自演とか.
当時の法律では自衛隊機を飛ばすにも国会の承認が必要,なおかつイラクまでダイレクトに飛べる航空機もなかった.48時間での救出は無理だった.
現在は地球の何処でも直行できる政府専用機(B-744)を日本国民救助のために飛ばすことができるので大丈夫です.
エンドクレジットには「エルトゥールル号受難碑」を掃除する日本人の子供たちの姿も出てきます.

2015年12月27日日曜日

偏差値28だと

色々大変ね,偏差値が低いと.
理研が作った原子番号113の元素を「ジャポニウム」と名付けようという話に,偏差値28の三国人が「新元素に自分の国の名前を付ける神経がわからない」みたいな痛い発言をしたのよ.当然来るわね.

  • ゲルマニウム
  • ポロニウム
  • アメリシウム
  • ルテニウム
  • ルテチウム
  • フランシウム
    その他色々
ま,偏差値28じゃ聞いたことが無くてもしかたがないけど.それよりあの国の中央日報が「ウリナラも見つければコリアニウムと名付けられる」という記事を出した.あのね,「元素に国の名前を付けるのは恥ずかしいことらしい」わよ
それに対して
  • ファビョニウム
  • キムチウム
  • イアンフォニウム
  • オモニウム
  • パクリウム
  • ニダニウム
  • エラニウム
候補はいくらでもあるけど,まず作ることが肝心ね
あたくしが学生の時は103までしか無かったけど.

リザとキツネと恋する死者たち☆☆☆☆☆

2015年12月26日 リザとキツネと恋する死者たち☆☆☆☆☆


久しぶりの脱力系コメディー.
時代は1970年代,ブダペストに住むアラサーのリザは「在ハンガリー日本大使未亡人 田中マルタ」の介護を12年に渡りしていた.リザの楽しみは日本語の小説「虹色の空の下」を読むことと,すでに故人となった日本の人気歌手「トミー谷」の曲を聞くこと.
6年前からこのアパートには,リザにしか見えないトミー谷の亡霊が出るけど,リザはそれも楽しんでいた.
そんな時マルタが亡くなる.親族はリザによる「遺産狙いの殺人」を疑い,実際アパートはリザに残された.
一人になったリザは日本の小説にあるように「30才の誕生日に永遠の恋人に出会う」ことを目指して恋人を探そうとする.しかし,リザに好意を寄せた人は尽く死ぬ.
そんなこんなでお金に困ったリザは,田舎から出てきたばかりで住むところのないフィンランド語の歌が好きなゾルタン刑事を下宿人にする,警察はゾルタンにリザの監視を命じる.
リザにはどうやら九尾の狐が取り付いていて,そのキツネの呪いで男が死ぬらしいと解る.呪いを解くためには「無私の愛で愛される」必要がある.その間にも次々と死ぬリザの周りの男.
ゾルタンも,ボイラーを修理すれば吹き出した炎で火傷,電気を直せば感電,トイレを直せば転倒と満身創痍.
リザは妙な誤解から,色事師ヘンリクを愛するようになるが死亡.絶望したリザは睡眠薬を飲む.その夢のなかで見たものは
ーーーーーーーーーーーーーネタバレーーーーーーーーーーーーー
実はトミー谷の亡霊は死神で,リザを愛し,ふたりだけの世界を作るため男達を殺し,絶望してリザが自殺するのを待っていた.
しかし,家の修理をしていたのがゾルタンとわかるとリザはトミー谷を拒否.ゾルタンは不穏な空気を感じてリザのもとに走る・・・・・が,途中でシャンデリアが落ちてくる,ころんだ拍子に自分の左手を撃ちぬく,ギリギリでリザの飲んだ睡眠薬を吐かせ助ける.

ふたりは結婚し娘が生まれ日本旅行をするが,車はエンコしてレッカー移動.その車の後ろにはトミー谷の姿が.

トミーが歌うのは20世紀グループサウンズっぽい軽快な音楽.適当に英語の入った(「弾むビート」とか「響くリズム」みたいな)ありそうな日本語の歌詞.
実は全てハンガリーで作られたもの.
トミーを演じているのは日系デンマーク人,デヴィッド・サクライ.日本にも10年ぐらいいたはずなのに,日本語はかなり下手.
あたくしが唯一知っているハンガリー語はjó reggelt(おはよう)だけど,ゾルタンがリザのためにしつこいほど勉強するシーンが面白い.
トミーとリザの対決シーンは「インセプション」並のCGです.
トニー谷を知っている世代にはなおさら面白い.

2015年12月23日水曜日

七面鳥

クリスマスに向けて七面鳥焼きました.
と言っても,今は家庭サイズのベビーターキー,ピクリング済みで売ってます.
冷凍で届くので,焼く2日ぐらい前に冷蔵庫に移して解凍.焼く当日冷蔵庫から出して室温に戻します.
スタッフィングは,電子レンジでチンした「冷凍チャーハン」と安く売ってたマシュルームをバターソテーしたもの.
天板に乗せて,表面にオイルを塗り塗りして,ポップアップタイマーをつけたら130℃のオーブンで90分.その後160℃で30分弱.ポップアップタイマーが飛び出たら焼き上がり.
こんな感じ.ベビーターキーは2kg弱です.焼き時間は1kg=約1時間ですから.
グレービーは,玉ねぎとセロリをクタッとするまで塩胡椒,油で炒める,小麦粉振る,七面鳥の焼き汁加える,赤ワイン加える,漉す,トマトソースとウースターソースで味整える,煮詰める.で作りました.
クランベリーソースは缶詰です.
ただね,・・・・・・・カトリックはクリスマスに肉を食わないんだよね.プロテスタントも,ヨーロッパでは七面鳥は「アメリカ大陸から来た食い物」だしね.
明日会社の食堂で解体します.

2015年12月19日土曜日

くるみ割り人形☆☆☆☆☆

2015年12月19日 くるみ割り人形☆☆☆☆☆ 於 新国立劇場オペラパレス

金平糖の精・・・・・・・・・小野絢子
王子・・・・・・・・・・・・福岡雄大
クララ・・・・・・・・・・・五月女 遥

ハーレキン・・・・・・・・・奥村康祐
トロル・・・・・・・・・・・福田圭吾
スペインの踊り・・・・・・・井澤 駿
       ・・・・・・・寺田亜沙子
アラビアの踊り・・・・・・・マイレン・トレウバエフ
       ・・・・・・・本島美和
中国の踊り・・・・・・・・・木下嘉人
     ・・・・・・・・・奥田花純
トレパック・・・・・・・・・八幡顕光
     ・・・・・・・・・福田圭吾
     ・・・・・・・・・高橋一輝
指揮・・・・・・・・・・・・アレクセイ・バクラン
演奏・・・・・・・・・・・・東京フィルハーモニー交響楽団

このプロダクションは何回も見ていて,一度も感激したことはない.初めの初台のシーンから20世紀初めのドイツに話が飛ぶところも「 ( ゚д゚)ハァ?」だし,最後のサンタクロースも.Σ(゚д゚) エッ!?
ところが,今日は本当に感激しました.
子役は「童顔で小さいダンサーが」演じることに違和感もなく.お気に入りの康祐くんはハーレキンメイクでお顔が解らない.(´Д`)ハァ…
雪の場になって,いつもながら美しい新国のコールド.児童合唱が入るとウルウル来てしまいます.
さて,終幕,井澤 駿くんは相変わらず見栄えもよく.アラビアの踊りで絶世の美女が出てきたと思ったら本島美和ちゃん.彼女本当に綺麗です.中国の男子,タッパがあって化粧映えして華があって,でも見かけない顔だと思ったら,今シーズンの入団でした.
トレパックの「オチビさんカットビ系三羽烏」一番拍手を受けてました.
最近バレエで常連のバクラン,序曲や幕間の器楽の部分がちょっと早い?感じもあったのですが「バレエ臭くなくぴったり合わせる」名人芸でした.東フィルもお見事.
最後のサンタさんで,またもやウルウル.同じ演出でなんでこうも感激できるのだろう.こう言うところが不思議なんですよね.
あー楽しかった.

2015年12月17日木曜日

そういえばスターウォーズ

最初の公開はあたくしが大学生になったかどうかの頃.デスコ調の「スターウォーズ」テーマ曲が流行った.当時の配給会社が何をトチクルったのか,日本公開を一年延期した.多分引っ張って,煽りたかったのでしょうね.結果として失敗だったけど.
待ちきれない映画ファンが,多数渡米して現地で「Star Wars」を見てきた.
で,「テーマ曲は荘厳なオケの曲,あのデスコバージョンはなに?」
今でこそお笑いだけど,当時はこれがスターウォーズのテーマだと思っていたアホが多かったのよ.特にラジオ局では.
本当のテーマはこれ.
今となっては「ジョージ・ルーカスが大金と長時間かけたインディーの自伝映画」でしかないけど.
今度のはデズニーでしょ?誰も死なないのじゃないかしら?
ま,宇宙から「無重力が消えた」のは「スターウォーズ」以降っていうのは当たりね.

2015年12月8日火曜日

ファルスタッフ☆☆☆☆

2015年12月6日 ファルスタッフ☆☆☆☆ 於 新国立劇場オペラパレス

ファルスタッフ・・・・・・・・・ゲオルグ・ガグニーゼ
フォード・・・・・・・・・・・・マッシモ・カヴァレッティ
アリーチェ・・・・・・・・・・・アガ・ミコライ
クイックリー夫人・・・・・・・・エレーナ・ザレンバ
指揮・・・・・・・・・・・・・・イヴ・アベル
演奏・・・・・・・・・・・・・・東京フィルハーモニー交響楽団

この公演も,レパートリー公演としてはよく出来ています.登場人物も多く,演技も重量なオペラですが,笑わせるオペラですから,声だけじゃ楽しめません.その点芸達者も多く楽しめます.場面転換すら楽しめます.
初演の時はカラン・アームストロングも出てました.
今日の東フィルはそこそこ聞けました.
ただ,このオペラが好きかと聞かれたら・・・・・まぁまぁかな.

ランメルモールのルチア☆☆☆

2015年12月5日 ランメルモールのルチア☆☆☆ 於 和光市文化センター大ホール
 
ルチア・・・・・・・・佐藤美枝子
エドガルド・・・・・・中島康晴
エンリーコ・・・・・・須藤慎吾
指揮・・・・・・・・・ニコレッタ・コンティ
演奏・・・・・・・・・アンサンブル彩

ルチアのベテラン佐藤三枝子が実に丁寧に,見事な狂乱の場を見せてくれました.
一方,10年ほど前に「鳴り物入りで登場した」中島康晴くん,確かに凄いテノールだけど,それだけの人,イタリア声でもないし,華もない.どうしちゃったんだ康晴くん.
デビューCDを聞いた時には「日本にもこんな声が出る歌手が現れたのか」と感動したし,生で見た時も「凄い」と思った.それが・・・しかもズングリムックリの幼児体型,6頭身.幼稚園の学芸会かい?
佐藤三枝子と少人数で立派な音を出していた,しかも一度もホルンがひっくり返らなかったアンサンブル彩がすごかった公演でした.
でも,所詮ドニゼッティですからねえ.

杉原千畝☆☆☆

2015年12月8日 杉原千畝☆☆☆

監督はローマ字表記だけど,実質日本人です.だから,日本映画独特の「浪花節」感,テンポの悪さがあります.
ま,杉原千畝が敗戦まで一度も涙を流すシーンが無いのだけおまけしてあげましょう.
ポーランドでポーランド人キャストメインで撮影しているし,唐沢寿明の英語も無理がないし,妙な不自然さは無いのだけど,小雪の日本語がところどころ乱雑になるのが・・
あの当時はご主人に対しては常に敬語であったはず.
最初の結婚の話とか,ちょっと都合の悪いところは端折ってあります.
でも,泣けます.それなりに感動できます.できれば戦後の千畝の話をもっと入れてもらいたかったです.いろいろな仕事を転々としていますが,全て一流企業です.
没後のことも欲しかったです.
見て損はない映画です.

2015年12月1日火曜日

黄金のアデーレ☆☆☆☆☆

2015年12月1日 黄金のアデーレ 名画の帰還☆☆☆☆☆

久しぶりに感動した映画.ウィーンのベルヴェデーレ宮殿に飾られている,クリムトに描かせた伯母,アデーレの絵,(クリムトのモデルになったのではなく,クリムトに描かせた)ナチに没収され,不当にオーストラリア政府所有になったその絵を,伯父の遺言により引き継ぐはずだった,アメリカに亡命した姪,マリアが取り戻すまでの話.
戦前のカラーを絞った映像と現代のLA,ウィーンのストーリーが見事に進みます.
オーストリア政府のPRで「芸術品返還計画」が始まるものの「オーストリアのモナリザ」と言われる「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像」が米国に亘るとは思われなかった.
重なることのなかったこの2つの時代は,絵画が調停でマリアのものになった時,初めて絡み合い,嘗ての幸せだった家庭の中に,今のマリアが佇み,暗転.
「器用でデリケートで、面白くてふてぶてしい」マリアを,ヘレン・ミレンが見事に演じてます.
あたくしも何度か行ったウィーンの風景が綺麗ですが,意味もなくシェーンブルン宮殿だの,プラーター公園などが映るところがちょっと鬱陶しいかな.
担当した若い弁護士は,アーノルド・シェーンベルグの孫だそうです.更に「ナチに奪われた芸術品の奪還運動をしている,エステイ・ローダーの息子も一役買ってます.
それにしても,スピルバーグと良い,ユダヤ人ってなんで「不意にユダヤ人に戻って」しまうのかしら?

Estée Lauder,アクサンがつくから英語ではなんて発音するのかな?と思ったら,ヘレン・ミレンは「エステイ」と発音してました.英語にはエーで終わる単語がないから「エイ」になるのよ.「バレエ」が「バレイ」,ビュッフェが「バッフェイ」みたいに.