2016年3月27日日曜日

ファッション史の愉しみ ☆☆☆☆☆

2016年3月27日,ファッション史の愉しみ☆☆☆☆☆ 於 世田谷美術館

渋谷からバスに揺られて.砧町まで.
そこは世田谷美術館.
あちこちに春の粧が.上はツリニチニチソウでしょうか?
これもニチニチソウの仲間でしょうか?
で,今回の展示のメインは石山彰氏のファッション画コレクション.衣裳はどうも見覚えが・・・・・あ,神戸のファッション美術館からレンタルね.
三菱一号館美術館がオートクチュールの100数十年にフォーカスしているのに,こちらは約500年です.クリノリン,バッスル,アールヌーヴォーぐらいまで.
石山コレクションは見物です.
ちょいと休憩.
砧公園の出口では,新作のマスタード試供品を配っていました.
サンプリング場所としては正解でしょう.

トーテム☆☆☆☆☆

2016年3月26日 トーテム☆☆☆☆☆ 於 ビッグトップ

いや,確かに面白い.クラウンの客いじりから始まって,色々な演目が次々に.でも,今回の演目は小技が多く,トラペーズも,固定したまま.面白いといえば面白いのだけど,テントよりはキャバレー向きじゃないか?
とはいえ,終わってみれば幸せたっぷりになる日常ながらのシルク・ド・ソレイユ.何度見ても楽しいですな.
終演後はオニチョへ.りんかい線のおかげで御台場から新宿も楽になった.

2016年3月26日土曜日

Parisオートクチュール 世界にひとつだけの服

Parisオートクチュール 世界にひとつだけの服☆☆☆☆☆ 於 三菱一号館美術館

オートクチュール系の展示は,神戸にある常設のファッション美術館,新宿の文化学園服装博物館,杉野学園衣裳博物館等,数は多いのだけど,規模が小さかったり平日だけのオープンだとか.
今回のはものすごい数のクチュリエの,ものすごい数の作品が展示されています.
偶然なのか,文化学園は「サン=ローラン」展,世田谷美術館では「石山彰コレクション」も開催されています.
今回の圧巻は,マダム・グレの作品群です.「布の彫刻家」と言われたグレ,細かいドレープがたたまれた作品は,遠目には普通のワンピースに見えてしまいますが,近くで見ると,その仕事の細かさに驚かされます.
作品群は広範囲で豊富なのに,なぜか全く無視されるクチュリエも,ニナ・リッチ,ルイ・フェロー,テッド・ラピドス,森英恵なんかは,完璧無視されてます.
綺麗な展示です.おすすめします.
撮影できる部屋もあります.ロベール・ピゲのイブニングドレス.照明が暗いので.

2016年3月23日水曜日

日本の音楽ホール

日比谷公会堂が閉館になる.
いくら老いぼれのあたくしでも,日比谷公会堂で音楽を聞く機会はなかったし,まして色物なんか.
日本の伝統文化に歌舞伎や人形浄瑠璃があるけど,これらの劇場は「南に向かって建てられ」「日の出から日没までの営業」観客は開場と同時に劇場に入り,幕間や観劇中でも「弁当」や「誂え物」を食べ.桟敷席の欄干は,料理屋が岡持ち片手に飛び歩くのが「粋で格好良い」とされた.下手すりゃ座席で煮炊きまでした.落語の「鍋草履」の世界.
金持ちは芝居茶屋に部屋を借り,幕間に休憩に行ったり,着替えたりした.朝から贔屓の役者の出番まで待つからこそ,贔屓が出てきた時に「待ってました!たっぷり!」と声を掛けた.
この文化を平成の世まで伝えてくれたのが,いつも言うように,名古屋の「スーパー一座」でした.年末の歌舞伎公演の時は大須演芸場の椅子席を外し,畳敷きの「桟敷席」に仕立て,弁当と飲み物片手に楽しむ形式でした.
さて,西洋文化が入ってきて,日本もオーケストラだ,オペラだと始まった.
如何せん,文化の基礎が歌舞伎浄瑠璃.舞台は横長のシネマスコープ.立端がない,袖がない.ホワイエには飲食コーナーだけでなく,土産物屋,屋台コーナーまであるのが普通.帝劇も日生劇場もこのパターン.
この形式の最後の劇場がNHKホール.今となっては場違いな土産物コーナーや即売コーナーもあった.
上野の東京文化会館だけは開館時から「クラシックの色物専門劇場」としてほぼ四角のプロセニアムを持つ劇場だった.(NHKホールやサントリーホール,オーチャードホールができるまでは色物は少数派だったのだけど)
バブル期の「無目的ホール」はいわゆる建物行政で,「入れ物作りました,後は好きにやって」なのだけど,作ったのはホール部分だけ.色物を上演するには最低でも主舞台と同じ大きさの脇舞台が必要だし,それなりの楽屋も設備も必要.
そういうところまで考えられて作られ始めたのが多面舞台を有するホール.作られ始めた21世紀をまたぐ頃.
ま,ヨーロッパでレパートリー公演する劇場でも,パリのガルニエ宮,ミュンヘンのバイエルンシュターツオーパー,ウィーンのシュターツオーパーなんかは一面舞台のようなものなので,複雑な場面変更が無い演出だったりする.
パリのバスチーユは9面舞台で,なおかつ遮音壁で遮断可能なため,オペラ上演中もフルのリハーサルができるとか.
今月のDIME誌に「国内で初めてドリンクコーナーを設けた音楽ホールサントリーホール」が出てたけど「ビュッフェという意味では初めてかも.それまでの劇場は明治座やら三越劇場やら「幕間にガッツリ食事する食堂併設」が普通だったから.
バブル以降のホールには普通にあります.
欧州のホール,ドイツ系は「フルサービスの黒服がいるレストランコーナー併設」だけど,フランス系は「簡単なワインコーナーだけ」が普通です.


新国が(主に)主演者側から歓迎されるホールなのは

  • 楽屋の数,洗濯機の数,シャワーの数が,出演者の多い色物公演でも十分なぐらい揃っている.
  • 楽屋から舞台の動線が良い.どの劇場へも単一の経路でたどり着ける
  • 舞台袖にも着替部屋やレッスン用のバーが用意され,早変わりにも対応可能
  • 舞台上に高さ5cmの「バレエ床」を貼っても,「舞台面を5cm下げることに依って段差解消」のようなハイテク舞台機構.
逆に評判が悪いのは,渋谷の百貨店併設ホールです.上記の正反対だからだそうで.

2016年3月21日月曜日

インフルエンザ

いやー,この連休,インフルエンザで(おそらく)パーになりました.
ここ数週間,週末は毎日のようにオペラ・バレエの堕落生活,休む暇もありませんでしたから,むしろゆっくり休めて良かった?先週末の木曜日,帰宅すると寒気が.
金曜日は,休暇なら余ってるからさっさと休みとって「明らかにインフルエンザ」の症状.筋肉痛,眼の奥の痛み,発熱,咳嗽.
で,病院行って「確定診断してもらったところで薬が効くわけでもないし」ひたすら無視を決行.取り敢えずコデインと鎮痛剤はあるから飲みながら「騙し騙し」
最悪ながらも普通に生活できるレベルの体調.近所でボケ老人の徘徊騒ぎがあったとかで,警察や消防に何度もピンポンされ不愉快.体調悪いのに食欲は減らないからコンビニに買い物には行く.
土曜日,かなり楽になるもまだ熱はあるし,筋肉痛も.コデインと鎮痛剤で騙し騙し.
日曜.熱下がるもどこかへ出かける気力はなく,コデインと鎮痛剤で騙し騙し.
月曜日,ほぼ回復も元気なく,コデインで騙し騙し.
やっぱり短期間であれだけのオペラとバレエはキツかったかな?
インフルエンザでも風でも「ひたすら寝る以外に治療法はない」
これで今シーズンのインフルエンザは気にしなくて平気なのが嬉しい.来週からまた観劇が始まる.
つーかこのタイミングでインフルエンザに罹れるあたくしって凄い?

2016年3月12日土曜日

ダニエル・コフリン

今日
オペラシティを通りがかったら,きれいな音が.あそこのサンクンガーデンは東京都のヘブンアーティストがパフォーマンスを行うから,別に珍しいことではない.
ところが,なぜかものすごく心打たれる音楽なの.あまりにも音色が豊かなので「オルガン?」と思ってしまったぐらい.ところが,なんとアコースティックギターだったの.
演奏していたのはダニエル・コフリンさん.

  • フィンガーノイズが全く無い
  • 普通の奏法の他,ボディを叩いたり,こすったりと多用な奏法を活用
  • とにかくうっとりとするような美しい音楽
観客って正直ね.今までに見たことがないぐらいの観衆と拍手.もっと聴いていたかったけど,オペラの予定があるので離れました.
音楽でこんなに感動するの,それもアコースティックギターでなんか今までにない.
動画でお聞きください.

サロメ☆☆☆☆☆

2016年3月12日 サロメ 於 新国立劇場オペラパレス

サロメ・・・・・・・・・カミッラ・ニールント
ヘロデ・・・・・・・・・クリスティアン・フランツ
ヘロディアス・・・・・・ハンナ・シュヴァルツ
ヨハナーン・・・・・・・グリア・グリムスレイ
指揮・・・・・・・・・・ダン・エッティンガー(ダンダン)
演奏・・・・・・・・・・東京交響楽団

ありがとう,ハンナ・シュヴァルツ!
予定されていたロザリンド・プロウライト,来日してリハーサルもしていたらしいけど,身内に不幸があったとかで突然の帰国.「イェヌーファ」に出演で来日中のハンナ・シュヴァルツが代演することに.勿論ヘロディアスはシュヴァルツの持ち役だし,前回2011年の新国サロメでも演じている.
「ブリヤ家の女主人」「ヘロディアス」どちらも重要な役だけど,主役ではないし出突っ張りというわけでもない.しかし,3月の5日6日,8日9日,11日12日と二連荘が三回.オペラ歌手が2日続けて歌うことなどまずありえない.しかも失礼ながら古希を過ぎたご老体.ところがどっこい,一番声に張りがあったのがシュヴァルツでした.
何しろフルのオーケストラが「これでもか」とがなり立てて舞台に鋼鉄のカーテンを造る「サロメ」ニールントの声質はスピントも効いていてサロメにぴったりなのだけど,声量が足りないからオケのカーテンにかき消されることも多かった.それに対して,その鋼鉄のカーテンを軽々と突き破ったのがシュヴァルツ.終わってみればとても素晴らしい舞台でした.案の定,シュヴァルツへの歓声もものすごく.
ダンダンが東響を振るのも珍しいかも.
このプロダクションもレパートリー公演としては完成されていると思います.
あ,だけど,前半のほとんどあたくしがオペラグラスで見ていたのは「右側の奴隷のギャランドゥ」でした. ハァハァ(;´Д`)…ハァハァ

2016年3月6日日曜日

天守物語☆☆☆

平成28年3月6日 天守物語☆☆☆ 於 新国立劇場中劇場

富姫・・・・・・・・佐藤路子
図書之助・・・・・・迎 肇聡
亀姫・・・・・・・・伊藤 晴
指揮・・・・・・・・山下一史
演奏・・・・・・・・フィルハーモニア東京

台本が泉鏡花なのだから,バカなことしなきゃそれなりの作品になるはず.現代物の日本語オペラが尽く悲惨なので心配でしたが,まあ,納得の行く範囲でした.ただしほとんどセリフ劇.突然「あ〜〜〜,う〜〜〜」とスキャットのような「歌」が延々と入るのが??かな.
衣装も綺麗だし,照明も良かったし,図書之助もそれなりに美丈夫だし,富姫亀姫は綺麗だし.音楽が,印象派とリゲティの共存みたいに取り留めもないのが・・・決して嫌いではないですが.
邦楽器も入ったオケもよくやってましたが,この作品は歌舞伎にもなっているし,しばらく前に新国の演劇でもやっているので,今更感もあります.

イェヌーファ☆☆☆☆☆

2016年3月5日 イェヌーファ☆☆☆☆☆ 於 新国立劇場オペラパレス

イェヌーファ・・・・・・・ミヒャエラ・カウネ
シュテヴァ・・・・・・・・ジャンルカ・ザンピエーリ
ラツァ・・・・・・・・・・ヴィル・ハルトマン
コステルニチカ・・・・・・ジェニファー・ラーモア
ブリヤ家の女主人・・・・・ハンナ・シュヴァルツ
指揮・・・・・・・・・・・トマーシュ・ハヌス
演奏・・・・・・・・・・・東京交響楽団

ベルリン・ドイツ・オペラからのレンタルプロダクション.ベルリン・ドイツ・オペラの上演はDVDも出ていて,前評判も好評,今回のメンバーもほぼ同じ,初日の講評も大絶賛で期待して行ったら大当り.
ここ数年で一番のオペラ体験.
このプロダクション見ないで「あたくしオペラが好きなんです」(林真理子なら言いそう)って言っても信用されません.それぐらい素晴らしいプロダクションでした.
あれ?プロンプターボックスやけにでかくない?
始まるとピットまで電気が消えて真っ暗.暗転幕が開くと舞台の上1mぐらいのところにシネマスコープぐらいのアスペクト比の,横長の天上が低い小部屋.なる程だからプロンプターボックスがでかいのか.
看守のような女性に連れられてコステルニチカが入ってくる.取調室?牢屋?音楽とともに奥の壁が上手方向に動いて開くと,麦畑.
二幕も同じようなセットで今度は雪景色.終幕はところどころ地面が見える雪解けの時期.
で,何が凄いって,コステルニチカの演技よ.もう演劇を見ているような間隔なの.前妻の子であるイェヌーファを愛しているけど,結局最終的に可愛いのは自分で「継子をかわいがるあたくし凄い?」だからイェヌーファの子供を殺して丸く収めようとしたのよ.
というのがよく判る歌唱と演技なの.もちろん他の歌手も上手いのよ.演技がすごく.
各幕開けは,「取調室」で,コステルニチカの回想として物語が進む.その,回想へ進むところがとても自然で,まるで映画を見ているような感じ.実際は奥の壁が動くだけなのに,自然に物語に溶け込む.
ぜひもう一度見てみたい.

2016年3月4日金曜日

マリーゴールドホテル幸せへの第二章☆☆☆☆☆

2016年3月4日 マリーゴールドホテル幸せへの第二章☆☆☆☆☆

マリーゴールドホテルの朝はオーナーによるゲストの点呼から始まる.年寄りの長期滞在者が多いので,生存を確認するため.
ひょんなことからインドのジャイプール,マリーゴールドホテルに英国の老人たちが住み着くことになったのが前作の話.
あれから三年,マリーゴールドホテルはうまく稼働していたが,経営を安定化するためには,事業の拡張が必要.しかし余分の金はない.
アメリカの投資会社でプレゼンを行うと,社長はなんとなく良い返事「hotel inspectorが鑑定してから決定する」
ジャイプールに戻ると早速品の良い紳士が予約もなしにチェックイン.経営者のソニーは根っからのバカだから,勝手に彼が鑑定人だと思い込む.少し先に「予約して」チェクインしたおねいさんを押しのけて良い部屋へ案内する・・・・・そう,Falty Towersと全く同じシチュエーション.
Falty Towersだと,鑑定人と思った人は結局鑑定人ではなくて,賄賂を渡そうとするところを本物の鑑定人に見られるというオチだったけど.
その話を軸にバカソニーの結婚話が進んでいく.

  • ミュリエル・・ソニーと米国出張に行くも,アメリカの文句ばかり
  • イヴリン・・・テキスタイルの買い付けに才能が有り,繊維貿易会社に誘われるも「この年で?」とためらう.
  • ダクラス・・・イヴリンとの恋愛は「中学生か!」
  • ノーマンとキャロル・・お互い火遊びしながらも仲良し.
  • マッジ・・・・相変わらず複数の男を誑し込む.
ジジイババアはしぶとい.
さて,作家としてチェックインした紳士ガイ,演じるのはリチャード・ギア.
で結局,作家は本当に鑑定人,おねいさんはライバル会社の鑑定人.
最後には投資会社の社長まで現れて.
ガイはレポートを書いたら辞職し,ソニーのお母さんと仲良く.
みんながそれなりに幸せになる,ほんわか映画です.
最後はお約束のダンスシーン.
おすすめです.

2016年3月1日火曜日

ヘイトフルエイト☆☆☆☆☆

2016年3月1日 ヘイトフルエイト☆☆☆☆☆

「キル・ビル」とか「イングロリアス・バスターズ」とかを楽しめた人なら,文句なく楽しめます.
バウンティハンターが二人,一人は生きたまま,一人は死体を運んでいる.雪で馬を失った死体運びのハンターはもう一人のハンターの駅馬車にリフトを頼む.
で,ミニーが営む小間物屋のコテージに避難すると,先客がいた.で,総勢8人の心理戦と肉弾戦の殺し合い.
血沸き肉踊る(血飛沫が吹き上がり,肉塊が飛び散る)戦い.まー,殺す殺す,撃つ撃つ.エログロ満載.
まー見てのお楽しみ.
ただ,今の時代70mmで撮るとか,意味ないと思うけど.フィルムの解像度が悪くて,光学スピーカーだった1960年代ならともかく.