2016年2月27日土曜日

偉大なるマルグリット☆☆☆☆☆

2016年2月27日 偉大なるマルグリット☆☆☆☆☆

星は全て吹替の歌手に差し上げます.
オペラファンなら誰でも知っているアメリカの伝説の歌手,フローレンス・フォスター・ジェンキンス.莫大な資産に物言わせ,カーネギーホールを貸し切ってリサイタルを開いた「伝説の音痴」
あまりの音痴にその歌唱は録音され,デジタルの時代を生き残りCDにまでなっている.
彼女は音痴なだけではなく,自分で音痴の自覚が全く無かった.
その彼女の話を膨らませたのがこの映画.
偶然なのかコラボなのか,同じような話が「スーベニア 騒音の歌姫」として,三田佳子主演で現在シアターコクーンで上演されている.
で,資産家のマルグリット・デュモン伯爵夫人は,自宅で慈善コンサートを開き,チャリティを集めていた.最後に夫人がオペラのアリアを歌うのが常だったが,彼女は自宅以外では歌わないので招かれた客以外は,彼女の歌唱を知らない.招かれるのは貴族や資産家だから,誰も面と向かって「音痴!」などとは言わない.だから彼女は自分が音痴だと知らない.
辛辣なことで有名な音楽批評家のボーモンは男爵夫人のコンサートに忍び込み,その「とてつもない音痴な歌唱」に見を震わせるが,一案あって新聞に絶賛の記事を書く.
夫人はボーモンに礼を言いにパリへ.そこでボーモンからコンサートへの参加を打診される.
喜んで参加する夫人.ところがこのコンサートが反政府活動だったから,彼女はチャリティのクラブから除名されてしまう.
しかし,人前で歌うことの快感に溺れた夫人は自分でリサイタルを開くことを画策する.(今となっては落ちぶれた)オペラ歌手をヴォイストレーナーにし,猛特訓を開始する.

面白い映画なのだけど,結局何が言いたいの?が解らないの.全てがアフリカ系執事,マデルボスの掌の上にも思えるし,結局夫の愛が得られなかった哀しい女の話にも思えるし.
唯一つ,吹替の歌手が見事な音痴を披露していることが凄い.この歌手がかなり優秀であることは,夫人が最後に気が触れたかのようにまともに歌う「清らかな女神よ」の一節を聞けば解る.しかし他のパートは見事に「外す,ぶら下がる,走る,もたる,上ずる,ひっくり返す」しかも,「いかにも」な外し方「正規の声楽訓練を受けてない音痴がオペラを真似したらこうなる」
まさにジェンキンスの外し方.この歌を聞くためだけに見にいくのも有りです.

コンサートの初めのほうで,おそらくオペラの二重唱では一番美しい曲ではないか?と思われるドリーブの「ラクメ 花の二重唱」が歌われます.対照的で良いです.
幸い出てくるオペラはほぼ全て知ってました.
新装成ったエビスガーデンシネマ,前回行ったのは閉まる直前.再オープン後初めて.

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