2008年2月23日土曜日

いのちの食べかた☆☆☆☆☆

2008年2月23日 いのちの食べかた☆☆☆☆☆
昨年の11月に公開されてから4ヶ月近いロングラン.マイナーな映画館でばかり公開されているのでなかなか見に行く機会が無くて,やっと今日見に行きました.
字幕もセリフも効果音も音楽も全くない1時間半ほどのオーストリアのドキュメンタリーです.
渋谷のイメージフォーラムで見てきました.ここの映画館は「定員制自由席」なので,チケット売り場で「××時の回,ありますか?」と聞いてチケットを買います.このときに半券と整理券をくれますので,開場時間になったら,整理券の番号順に入場します.
さて,内容は,食糧を生産する場とそれに関わる人の物語です.養鶏場,養豚場,畑,果樹園,屠畜場,そう言ったところで飼われ,養われ,屠られる動植物とその仕事に携わる人たちを,全く説明なしに延々と映します.
あたくしみたいに農業学校出の人間ならほとんど解りますが,一般の人には分かりにくいこともあるのではないでしょうか.あたくしは農場実習で乳牛の後代検定を手伝ったこともあるので,畜産系も解ります.
日本に一番欠けている「農業(畜産漁業を含む)はビジネスであり工業である」事も思い知らされます.
苦しい労働なんてほとんどありません.農業とはいえ,まるで工場での作業です.唯一人海戦術の力業と思わせるのは,ホワイトアスパラガスの収穫だけです.
明和電機のパチモク見たいに伸びて水を撒くトラック,孵化場からベルトコンベアーで流されて行く雛,流れ作業で(恐らく)クチバシをトリミングされ養鶏場に運ばれる.出荷の時期,が来ると掃除機のような機械でくみ上げられ,箱に詰め込まれて処理工場に運ばれる,逆さづりにされ,首の血管を切られ,羽をむしられ・・・
牛はスタンガンで,豚は電気で失神させられ,同じように.出てくる肉牛はほとんどダブルマッスルの牛です.従って帝王切開のシーンが出てきます.牛の帝王切開は立ったままあっけなく終わります.
精液採取や人工授精,生まれてすぐの去勢や断尾なども.黙々と作業する人々.血まみれのユニフォームで社員食堂に集まり食事をする人々.
野菜は広大なハウスで作られ,畝の間を収穫用のトロリーに乗って収穫するので,重い荷物を運ぶシーンも,腰を曲げての作業もありません.流石は農業立国の欧州各国です.
最後のシーンは屠畜場の掃除のシーン.まるで食品工場の様に(ま,ある意味食品工場ですが)磨き上げられた屠畜場.
チケット売り場には

も売られていました.
食べると言うことを考える良い映画でした.

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